現実は_s ページ31
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アメリカからまた日本へ戻るという話が出たとき、
真っ先にMERの医師に立候補した。
まぁ、音羽先生がMERのなんとか…なんとか
忘れたけどなんか大事な役職についたらしい。
なんで、MERに立候補したのか、
向こうに行ってすぐ、高輪先生から
喜多見チーフの妹さん、
つまり涼香ちゃんが、
爆発に巻き込まれて亡くなったと知った。
現実世界はやっぱり不条理でいっぱいだった。
なんで、あんなにも優しい子が
亡くならなければいけなかったのか。
なんで、あんなにも人を思いやれる心をもつ子が
不条理な死を遂げなければいけなかったのか
考えても答えなんて出てこない。
だって不条理ってそういうものなんだと
自分に言い聞かせる。
少しでも、そうやって、
不条理な死を遂げる人を減らせればと思った。
残された人は、ぶつける先のない怒りでいっぱいになるだろうから。
母さんや弟も、不条理だったから。
『音羽先生、大丈夫ですか?』
「……なにがですか」
『ちょっと働きすぎなんじゃないかなって心配になりまして、』
「それはこっちのセリフです。」
『いやぁ私は別に働きすぎてるつもりはないですよ?ここに差し入れ置いときますね。』
一瞬救命行ってきます、なんて行って袋を
音羽先生の隣に置いていく。
「板チョコ……ですか」
『チョコが好きって噂で聞いたので、絶対休憩しろとは言わないんで、まぁ、気休め程度に!!』
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作者名:Lerian | 作成日時:2021年9月23日 20時