掴み取れ、強さを。【TOKYO MER】 (ページ16)

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見せられない_s ページ16

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『久々にこんな笑いました、ほんとにありがとうございました』

「A先生、送ります」

『えぇ〜。いいですよ別に』

「Aさん、送って貰ってください」

『涼香ちゃんに頼まれたらなぁ〜』

「お兄ちゃんちゃんと家まで送ってあげてね！Aさんかわいいからさらわれちゃうかも！！」

「任せろ！」

喜多見さんに送って貰うことに。

『攫われるって、私小猿かなんかですか』

「どんな例えですか」

中身のない会話をしながら、歩いてると
ふと。気づく。

『あっ、喜多見さんバナナ好きでしたよね』

「はい、筋トレしてるとどうしても甘いものが食べたくなるんですけど抑えなきゃって時に」

『今うちにバナナめっちゃあるんですけど……良かったら持って帰ってくれませんか？2人じゃとても』

「ほんとですか？そりゃもう喜んで。あ、もしかしてここですか？いいとこ住んでますね」

『あはは……今取りに……』

「……A先生、これ」

喜多見先生が″紙″を見てしまった。

玄関に貼られていたソレを急いで剥がし、
ついでにポストに投函されてたやつも一気にワシ掴む

『いつもの事ですよ。ただのイタズラです。今持って出ますから』

ぱぱっと家の中に入って、でっかい紙袋を2つ

『はい、すいませんこんな紙袋しかないんですけど。これいっぱい食べていい筋肉つけてください』

「待ってください、さっきの……なんですか？ストーカー？」

罪を認めろ、だとか

謝罪しろ、だとか

犯罪者、だとか。

ただのストーカーならまだどうにでもなる。

『慣れてますから』

「大丈夫なんですか？」

『何にも問題ないです、すいません失礼します』

失礼極まりないドアの閉め方だったろうけど、
問題はそこじゃない。

「んあ？おかえり〜。さっきだれかいた？」

『ただいま、送ってもらったの。それよりさ、また届いたんだけど』

「マジ？また引っ越す？」

『そうなるねぇ……今回は尚更。』

「ねぇ、日に日に顔死んでってるけど寝なよ？」

『寝てるから、大丈夫』

これは、もう誰にも教えたくない。