雛105匹:精神の核 ページ11
針を持つ手を見た。
そしてまた眉をひそめる。
(…私の手、こんなに薄っぺらかったかな……)
この針で軽くつつけば、ぷっすりと外まで貫通しそうな…柔らかい皮に、小さい手。
肩を滑り落ちる髪も、勿論長い。それがどうした、あたりまえなのに。
_…なにもかも、変に思ってしょうがない。
「…そういえばさぁ、最近畑荒れなくなったよね」
「そうそう、やっぱり動物だったんじゃないかな」
「だよね。絶対狸とか……あ、ほら、“猪”とか」
ハッとして目を開く。
猪……そう、猪。
…いや、なにも知らない。猪に反応するなんて…本当にどうかしてる。
でも…なんだか少しちがう。
猪じゃないんだ、見た目を、妙に覚えているような……
「…やっぱり私、家に戻っとくね」
「あ、そう?わかった」
「迷わないでよー」
「な…何年ここにいると思ってるの!迷わないもん!!」
振り返って家の方へ向かう。くすくす笑う声が遠ざかっていった。
♡
…また、同じ場所、同時刻にて
「__…見つからないっ!!」
一人の少女が、地を駆けた。
(なによここ…どこ行っても花花花……!!)
異様なオーラを放つ刃物を持って、少女は走る。
誰にでもみたい夢をみせることができる鬼…。
彼の言うには、誰の夢にも必ず精神の核があり、それを破壊すればもう二度と目覚めることがないと…
「…それができれば………私、やっと皆に会えるっ…!」
核を壊せば、褒美として鬼様に夢を見させてもらえる。
私の家族は、私が小さい頃に離別した。
親が泣き崩れながら私を見送る様を…鮮明に覚えている。
貧しかった、一日一食もないくらいで、毎日毎日ひもじかった。
私の手をひいて歩く男は、私を労働力として必要とし、今の今までこき使ってきた雇い主…
(私は売られてなんかいない…手違いでたまたま私だっただけ…。お姉ちゃんはきっと体が弱かった。お兄ちゃんも怪我をしていた。だから三人目の私が出された。まだ幼い弟や妹もいたから)
「__!!!」
ある一点、通り過ぎる瞬間に、そこだ。と思った。
_精神の核を破壊して、家族の皆と暮らす
そこは屋敷の壁だった。
グッと刃をつきたてれば、ぐにゃりと曲がる壁面…
(…この先に、核が…)
早く、壊す。壊すんだ。
壊して私は、家族の元へと、帰るんだ…__
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砂糖しぁっ。(プロフ) - うささる@さん» なんと!夢主ちゃんも応援してくださるのですね…!?コメントありがとうございます!空いた時間で更新していくのでよろしくおねがいします!! (2020年2月23日 9時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - おもちさん» わぁぁこちらこそぉぉ。なんかチャットになりつつあるかなぁと私の自己判断でしたことで…すみません。ゆっくり更新するので気長にお待ちくださいー。 (2020年2月23日 9時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
うささる@(プロフ) - 先が気になります!主ちゃんも砂糖さんも応援しているので、自分のペースでがんばってください!! (2020年2月23日 8時) (レス) id: 12e32336a9 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - お話を読み返すのも楽しいので無理しないで下さいね?応援してます(*^^*) 間違えてたらすみません、前のコメントで不適切なことを書いてしまったかなと思いまして、、もしそうなら申し訳ないです。 (2020年2月23日 7時) (レス) id: 203d84a786 (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - おもちさん» なにせ裏表の激しい子ですから…。とくに人が見ていなければ言っちゃうもんですこの子は…。なにせ頑固な子ですから……))そんな夢ちゃんですがこれからも暖かく見守ってやってください (2020年1月28日 0時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖しぁっ。 | 作成日時:2020年1月13日 17時