雛7匹:少年 ページ8
__お前は今日から、花櫛Aだ。よろしくね、A。
年相応の古びた美しさを持っていたこの女の人の夢を、何度も見る。
あぁ。懐かしく、とても美しい・・・
__
「___み…」
「__み…」
「きみ!!」
「わぁぁぁ!?」
ガバリと起き上がった。
ゆらゆらとたなびく髪。かすかな藤の花の匂い…。
いっけない…。寝過ごすところだった。
ふと前を見ると、赤毛で雲の柄の羽織を着た男が、心配そうに腰を降ろしてこちらを見ていた。ん?これは見とれてる?
…ちがうな。見とれてるならもっと顔が赤いし口元がだらしなく緩んでいるはず(個人的な長年の経験上)
完全に外面モードに入った私は、これは一体どんな状況?って感じに首を傾げてみせる。
男は口を開いた。
「君、寝てたけど、刀があるってことは、君も最終選別を受けにきたんだろう?たった今始まったぞ」
「…そうなの?」
目をパチクリとさせて言うと、男は立ち上がった。ほら。という風に手を差し出す。
その鍛え抜かれた手で私の体を引かれた時に、勢い余って男の胸に倒れ込んでしまった。ふわりと香る良い匂い。
すまない。強く引きすぎたかな。大丈夫か?と男の声。
心音は乱れてない焦ってない赤くなってない。
照れろよ馬鹿野郎…
「ごめんね、大丈夫」
笑って見るも反応変わらず。
どういうことだ。と自問自答していると男は何事もなかったかのように口を開いた。
「体調も悪そうじゃ無くてよかった…。じゃあ、俺もう行くよ」
「あ…待って!」
おいそこ何美少女置いて先に行こうとしてるんだ。
クイッ。と男の袖を掴む。
私のこの袖クイで悶えなかった男はいないんだから。
「声かけてくれて、本当にありがとう。あの…貴方の名前は…」
「ん?あぁ、俺は竈門炭冶郎。よろしくな!」
は?照れないさいよこのでこっパチ赤毛坊主!!
私が出血大サービスでやってるんだからね!赤面しろよ跪けよ
さっきの上目遣いだけで悶えても良いくらいなのに!
微笑みの裏でそんなことを考えていると、男…もとい炭冶郎は、じゃあ!と爽やかな笑顔を向けて走り去った。
彼の袖を再度掴もうと手を伸ばすも、その手は虚しくも空をきった。
「これじゃ、私フラれたみたい…」
絶句する私がいる一方で、全く動じなかった彼に、興味が湧いた私もいた。
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ゆきだるま(プロフ) - 砂糖しぁっ。さん» いえいえ〜全然構いませんよ〜!これからも頑張って下さい!応援してます〜+.(*'v`*)+ (2019年12月27日 13時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - ゆきだるまさん» どうも初めましてこんにちは!!指摘有り難うございます!!コメント全然気付きませんでした!!ごめんなさいそしてありがとう!!! (2019年12月27日 12時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - どうも、初めまして!この小説を読み始めたのは最近なんですけど、すっごいハマりました…!頑張ってください!!それから、炭治郎の''郎"の字が"朗"になってますよ〜応援してます! (2019年12月14日 8時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - くどはるさん» コメントありがとうございます!!いい意味でも悪い意味でも、裏切ります!(無駄にいきいきしてる)。続編制作中ですので、楽しみに待っていてください!!ヒロインちゃんまだまだがんばりますよ!!!! (2019年8月29日 19時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
くどはる(プロフ) - いい意味で裏切られたような感じです!ヒロインちゃんに簡単には靡かない男性陣たちを見れて新鮮だしとっても面白かったです。続きが早くみたくて待ちきれないです!! (2019年8月29日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖しぁっ。 | 作成日時:2019年7月6日 18時