雛41匹:那田蜘蛛山 ページ42
__雛の呼吸って名前、可愛いよね
これは善逸に甘味屋で言われた言葉。
雛って名前でも、さすがに鳥みたいに羽ばたけるような異常現象を起こせるわけじゃない。
師範の体が小柄で、鬼を斬る様が小鳥の雛が獲物をついばんでいるようだとある隊員が言ったらしく、そこからつけた名前だと師範は言っていた。
安直。その二文字が頭に浮かぶ。
「でも、善逸さんの雷の呼吸も、私かっこいいと思うなぁ」
「そそそそう!?嬉しいな!?ほんとに言ってる!?」
「うん、ほんと」
「嬉しいなッッッ!感無量だなッッッ!!」
「私も嬉しい。
……だから、さ、あの…善逸さん?」
「なに!?」
「ちょっと……離れてもらっていいかな…?」
その一言をかけると善逸はあからさまに顔を青くさせてカタカタと震えだした。
袖にクッと力が入る。
炭治郎か伊之助の、ため息が聞こえた。
なぜこうなったかというと、那田蜘蛛山への道中、善逸がなにやら強い口調で待ってくれと言うもんだから聞いてやれば、怖いんだと泣き叫ぶ。
挙げ句の果てに私の袖は掴むし。
こいつの頑固さどこからきてんだよ。その頑固さもっと有効活用しろよ。
「善逸!Aに迷惑だろ!そんなこと言っても、俺達に与えられた任務なんだから…」
「なんだこいつ、きっも」
「お前はだまれ猪頭!!!
三人はあの山からなにも感じないのかよ!!」
そう言われ、私達は山の方を向いた。
たしかにおぞましい気配のような、何か分からないものが漂っている…気がするけれど…
「でも、行かなきゃ…」
「…」
「善逸」
三人の視線が、善逸に注がれた。
たくさん涙を溜めながら口をつぐむ。私の袖から手を離し目元を拭ったあと、そっと何かを言おうと口を開いた…とその時
「…う、うわああああ!!!」
「!?」
少し先の道から、男の声が聞こえた。
もしかしたら隊士かもしれないと思い、私達は駆けだす。
声をかけるとその男はピクリと体を動かし、糸のような物に引っ張られ山へと連れ戻されていった。
…繋がっていた。俺にも。と叫んで。
一種の化け屋敷じゃんね…。と呆然と山を見ていると、炭治郎が「行こう」と呟いた。
続けて伊之助も刀を抜く。
いやなんでそんな勇敢なの?と思いながらも、一応私も頷く。
この人達馬鹿なの…?
わかんないの?ここ化け山だって…怖いって…
薄く涙を溜めながら、彼等の後ろを着いていく。
善逸は座ったままだった
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ゆきだるま(プロフ) - 砂糖しぁっ。さん» いえいえ〜全然構いませんよ〜!これからも頑張って下さい!応援してます〜+.(*'v`*)+ (2019年12月27日 13時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - ゆきだるまさん» どうも初めましてこんにちは!!指摘有り難うございます!!コメント全然気付きませんでした!!ごめんなさいそしてありがとう!!! (2019年12月27日 12時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - どうも、初めまして!この小説を読み始めたのは最近なんですけど、すっごいハマりました…!頑張ってください!!それから、炭治郎の''郎"の字が"朗"になってますよ〜応援してます! (2019年12月14日 8時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - くどはるさん» コメントありがとうございます!!いい意味でも悪い意味でも、裏切ります!(無駄にいきいきしてる)。続編制作中ですので、楽しみに待っていてください!!ヒロインちゃんまだまだがんばりますよ!!!! (2019年8月29日 19時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
くどはる(プロフ) - いい意味で裏切られたような感じです!ヒロインちゃんに簡単には靡かない男性陣たちを見れて新鮮だしとっても面白かったです。続きが早くみたくて待ちきれないです!! (2019年8月29日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖しぁっ。 | 作成日時:2019年7月6日 18時