雛32匹:猪 ページ33
「う、う……」
下から来る風圧に、思わず顔をしかめる。
耳もとで響く誰かの話し声が、入ってきた。
右目を、そっと開ける。
私を力強く抱きしめた男の人。
ふいに、ドスッ!という強い衝撃が加わった。
男の髪が舞い上がる。
私の背中に回されていた手が、ふと緩くなる。
嗚呼、この人、守ってくれたのね。
私が怪我しないようにって。
なんて優しいんだろう。
死んで、ないよね。
起きたらお礼、言わなきゃなぁ。
__嗚呼、なんて綺麗な黄色い羽織。
♡
「おいお前!__ちゃんに近づくな!!」
「あぁ?__ってこいつのことか?こいつ強いのか?女か?」
「なんでお前に教えなきゃいけないんだよ!てか埋葬するの手伝えよ!」
うるさい声に、私は目を開けた。
顔がまだ痛い。ちょっと動かすだけで瞼が激しく痛む。
ふと前に、誰かの足があることに気付いた。
炭治郎かな。なんて思って顔を上げて、私は後悔した。
両目が変な方向に向いた猪が、私の顔の数センチ手前でこちらを凝視していたのだ。
え・・・・・・えぇぇ!!?
「いやああぁぁぁ化け物ぉぉーー!!!!」
「あああ!!?誰が化け物だこらっ!!顔面潰すぞ!!!」
「やああああ誰かーーー!!!!助けてーーーー!!」
「A落ち着け!大丈夫だ!」
炭治郎ー!と私は炭治郎の後ろに隠れた。その瞬間誰かの“炭治郎お前!”っていう声が聞こえたけど知らないふり。
「A落ち着け!これは危害を加えない猪だから大丈夫だ」
「え俺こんな青痣作られたんだけどこれ危害じゃないの!?」
「大丈夫だ!」
「大丈夫なの…?」
「くそ!でもAちゃんが安心するならいいけども!!」
文句をたれながら穴を掘り始める善逸。
そういえば今どんな状況?もう任務終わったの?
回りを見渡す私を見て、炭治郎は一から説明してくれた。
私達は一足先に屋敷から出ていたと。
てる子ちゃんの兄の清くんも無事。鬼も倒し、今は死んだ人を埋葬している途中らしい。
「オイ、お前!」
「え…私?」
「そう、そこのチビだ!」
「チビ」
まてこいつ、私のこと褒めてる?褒めてる?褒めてないよな?
ちょっとした疑念が湧いて、袖をのばして萌袖をしながら“ひどいです…。”と言ってみる。
案の定こいつ、無言で鼻ほじりやがった。
「なんか匂うのか。なんで口隠すんだ!」
「…ちょっと獣臭いかなあぁ!」
なに。鬼殺隊って、みんな鈍感な奴ばっかなわけ?
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ゆきだるま(プロフ) - 砂糖しぁっ。さん» いえいえ〜全然構いませんよ〜!これからも頑張って下さい!応援してます〜+.(*'v`*)+ (2019年12月27日 13時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - ゆきだるまさん» どうも初めましてこんにちは!!指摘有り難うございます!!コメント全然気付きませんでした!!ごめんなさいそしてありがとう!!! (2019年12月27日 12時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきだるま(プロフ) - どうも、初めまして!この小説を読み始めたのは最近なんですけど、すっごいハマりました…!頑張ってください!!それから、炭治郎の''郎"の字が"朗"になってますよ〜応援してます! (2019年12月14日 8時) (レス) id: bda2441edd (このIDを非表示/違反報告)
砂糖しぁっ。(プロフ) - くどはるさん» コメントありがとうございます!!いい意味でも悪い意味でも、裏切ります!(無駄にいきいきしてる)。続編制作中ですので、楽しみに待っていてください!!ヒロインちゃんまだまだがんばりますよ!!!! (2019年8月29日 19時) (レス) id: 51da6414e6 (このIDを非表示/違反報告)
くどはる(プロフ) - いい意味で裏切られたような感じです!ヒロインちゃんに簡単には靡かない男性陣たちを見れて新鮮だしとっても面白かったです。続きが早くみたくて待ちきれないです!! (2019年8月29日 2時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:砂糖しぁっ。 | 作成日時:2019年7月6日 18時