朧月〜oborozuki〜

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「坊ちゃん！坊ちゃん！待ってください！」






スタスタと早足で玄関まで向かうと、小走りでゆりえが追いかけてきた。






「なんだ?」





靴を履きながらぶっきらぼうに問う、






「ゆり江はA様がそんなことするような方には思えません！」






ゆり江は怒りと悲しみが混じったような声で言う。






「じゃあなぜ嫁ぎにきた令嬢が飯など無償でつくるのだ。」







今までの経験をふまえると違和感しか感じない






「A様は今まできたどの方とも違うようにかんじます。」






ゆり江は嬉しかったのですよとこちらに訴えかける





「わかった、帰り次第謝っておく。」





渋々に謝罪することを約束し、






「では、行ってくる。」






とゆり江に告げて家を出る。

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