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向かったのは生徒たちの憩いの場となっている学校の中庭。
中心には立派な噴水があり、周りにはベンチがある。
その中の１つのベンチの前にAはいた。
まだ、あったのかこのベンチ。
座ると噴水がよく見える実は穴場な場所。
Aはそのベンチに座り、辺りを見渡す。
たかだか2年前だ、特に景色に変化はない。
逆にそれが辛い。
Aはベンチの上で膝を抱え込み、顔を突っ伏した。
「……風馬」
？「…大丈夫ですか？」
「…!?」
頭上から声がして反射的に顔を上げた。
そこにいたのは、たしか…轟くん。
「えっと、轟くん？…どうしたの」
思わず尋ねると轟は乏しい表情のまま、不思議そうに首を傾げた。
轟「いや、膝抱えてるから体調悪いのかと…」
「あ、ううん…違う違う。ごめんね」
たしかに私が不審者だった。
Aは立ち上がり、その場を離れた。
轟「………風馬？」
午後の授業のためにAは準備をしながら、先ほどのベンチでのことを思い出していた。
まさか受け持ちクラスの生徒に見られるなんて…完全に不審者だったな、私。
風馬に初めて会ったのがあの中庭のベンチだった。
そういえばあの時も…
「………」
Aは首を軽く振って、授業へ向かった。
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作者名：安奈 | 作成日時：2017年9月19日 0時
