田舎のボカロ好き剣道少女がブラック本丸に行くそうで…。

夜伽……だと？ ページ3

A「ただいま〜！！…って誰もおらんよね…。」









おかえり、なんて帰ってくるはずもない。だって一人暮らしだから。









代々続いてきた旧家なので庭やら廊下やらが無駄に広い。家の一番端のお風呂に行くのにも50秒以上は絶対かかる。









二年前までは爺様と暮らしていたがその爺様も亡くなり、一人暮らしとなった。









まぁ、厳密に言えばもう一人いるけど！！









それは昔、爺さんに貰った刀。なんでも、代々受け継がれてきた代物らしい。赤薙切蔵だった…かな。









ほとんど使ったことはないけど居間の爺さんの写真の前に置いてあるのでいつも手入れはしてる。独り身の私にとってとても大事な家族だから。









ブラックかホワイトか知らないけど行ったら刀剣達も同じように扱うつもりだ。









A「そういえば書類に目を通しておけって言われてたよね〜。」









音楽を聴きながら読書するのは効率悪いと聞いたことがあるが、生憎私はこの動作を小学生の頃から続けていたので効率よく書類を読める。貰ったイヤホンを耳につけるとやはりこの前中古で買った安物のウォークマンより断然こちらの方が聞き取りやすい。









A「本丸の審神者は野豚信子さんね…。うわぁマジで野豚みたいな顔してる。キショイ。…こいつのせいでブラック本丸になってるのか。 ブラック本丸とは。刀剣達への肉体的、精神的暴力…酷すぎる。あと、夜伽を強制的に…。え、よとぎ？それナニ？？」









夜伽って一体なんなのだろう。暴力？？いや、暴力とは違うよなぁ。









よし、グー◯ル先生に聞いてみよう！！←スマホ持っていない。









曲が変わった。『六兆年と一夜物語』か。









この曲、好きなんだよね。









この曲の主人公と私ってどこか似ているような気がするから。









そういえば、あの頃、私はどうやってあんな世界から抜け出したのだろうか。









本当にうっすらとしか覚えていない過去。









「A、、、A！！」









ほら、遠く、ずっと遠くで誰かが私の名を呼んでいる。









でも、その私の名前を呼んでくれる温かい声の主の名前を私は知らない。

過去回想→←どうしてこうなった。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す