いちご水２ (ページ6)

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５２water ページ6

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舌にふんわりと広がる味。

目眩を起こすほどに甘ったるく、

それなのに感覚を見失うほどどこか淡白で

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うん

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確かに

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＂美味し＂くはない。

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『俺の言ってることわかった？』

「うん、なんとなく」

『言葉では言い表せないだろ？』

「そうだね、難しいね」

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『こんなに美味しくない飲み物が

この世界にあるなんて……

私

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「『知らなかった』」

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言葉が重なったことが

なんだかおかしくって、

私達は顔を見合わせ

同時にふっと笑みをこぼした。

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もう二度と思い出したくないと願った

あの出来事を

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この人に

出会ったことによって

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一瞬だったけど

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『ていうか俺、あんなに本気で笑ったの

かなり久しぶりかも』

「私もだよ」

ほんの一瞬だったけど

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たった一瞬でも

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『すげえ疲れた。

でも、走り終わった後の爽快感も

案外悪いもんじゃねえな』

「ああやって全力で走るのも

たまにはいいね」

忘れることができた。

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『名前は？

俺は拓弥』

「私は◯◯」

それ以上のことは

何も教え合わなかった。

年齢も、学校名も、住んでいる場所も、

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次に会う約束だって、当然のように。

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だって

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ねえ、拓弥

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この時は

名前を知ることができただけで

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十分すぎる気がしたんだ

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いくつもの偶然が重なり

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正反対の想いを抱えて

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私達は

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広い世界で二人

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こうして出会ったのです