二話「侵食は始まり」 ページ4
某国、中枢機関
「第１軍、先程全滅しました......
もう戦える者はいません....！」
「......！！
何なんだ.....奴等は......！」
報告を受けた壮年の男は、窓の外を見て絶句する
燃える街、逃げ惑う人々、転がった死体
やがてその炎は、この基地まで届くだろう
いや、その前に奴等に攻め入られるのが先か....
「何故こんな事に.....」
若い指揮官が唸る
しかし総大将たる男は、彼を見て言った
「.....君は逃げなさい」
「！？
そんな事はッ！」
「もう、残っているのは私達だけだ
他の指揮官達は、とっくに基地から逃げている」
「貴方を置いてはいけません！」
指揮官は反抗する
幼い頃、孤児院から自分を拾ってくれた恩人
それが今の総大将だ
彼を側で守ると決めたその日から、死ぬ時も一緒だと誓っている
「私は所詮、老いぼれの身だ
此処から逃げた所で、捕まるのは目に見えている」
強い瞳に気圧され、彼は一歩後ずさった
男は静かに瞑目し、再び目を開く
穏やかな表情で、その声は彼の背を押した
「生きなさい
君を引き取ったその時から、私は君を守ると決めたんだよ」
「......っ！」
心残りを無理やり断ち切り、指揮官は走る
生きるために走った
この国から出る為の最短ルートは分かっている
基地を出て、仲間の死体を見て足が竦んだが、それでもまっすぐ走る
.
.
「あの子には最後まで、重荷を背負わせてしまったか.....」
走り去った指揮官を見送ってから数分
やって来た侵略者達を見据えた男は、穏やかに言った
武器を構えられても、何の抵抗もしない
「幸せになりなさい
それが、君が私にできる親孝行だよ
...........sou」
sou、最後に呟いた指揮官の名は、侵略者に届く事なく掻き消えた
断末魔の声すら上げずに散った彼を、何の感情もなく見下ろしたいくつもの瞳
それは男が完全に息絶えたのを確認して去っていった
決して小さい訳ではない
寧ろ、付近では有名な大国だったが、総大将である男が死ぬまでに、侵略が始まってから半日も経っていなかったそうだ
厄災は此処から広がった
平和な日常を切り崩す音は、やがて世界中を駆け巡るだろう
これはまだ、A達のいる国から遠い、異国での出来事
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ココア(プロフ) - シオンさん» コメントありがとうございます！はい、元ネタは我々だの方々の実況です。対エイリアン、という単語にハッとしまして.....。更新頑張ります！！ (2017年7月1日 17時) (
レス) id: 742ad63ee0 (このIDを非表示/違反報告)
シオン - 番外編、おめでとうございます!!楽しみです!!エイリアンは元ネタ我々だですか? (2017年6月30日 16時) (レス) id: 986262ce68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ココア | 作成日時：2017年6月29日 13時
