9.セミの一生 俺の一週間 MASAKI目線 2 ページ18
初めて会った日、
そういえば君は
見るだけでもツラそうな
高いヒールの靴を履いていた。
カツカツって冷酷な音だけを
響かせていた。
どうしてあの子が、
ヒールを履くんだろう。
きっと、
ペタンコの方が似合うのに。
それに、
姿勢がいいから、
スゴく厳しい人に見えるんだ。
どうしてだろう。
リビングに入ってきた星奈ちゃんに、
聞いてみることにした。
『あのさー、星奈ちゃん。』
「…はい。」
『星奈ちゃん、通勤の靴、スゴい高いヒールだよね。』
「はい。」
『ペタンコの方が似合いそうなのにどうしてあんなヒール履くの？』
「え…どうしてって。
あの…うちの会社、男の人が多いんです。その中で私、もともと小さいのに女だから、結構バカにする人とかも多くて。カタチだけでもちょっと威厳がある風に見せたいなって思ったんです。
バカにされないために、目線を合わせたかった。
だけど、まだ男女の間に壁ってあるんですね。」
『強がりだ、星奈ちゃん。』
「そんなことないですよ？」
星奈ちゃんはあまり自分から喋らない。
いろいろあった上に、
控えめな性格が
それを後押ししてるようだ。
♪赤から青に変わる♪
ケータイを取って、
通話ボタンを押して、
社交辞令のようにはい。と言う。
ーあー、もしもし相葉ちゃん？
『あ、大ちゃん。どーした？』
ー星奈のことだけど。色々あるんでしょ？ちゃんと聞いたの？
『うん。話してくれた。』
ー絶対ひとりにしちゃダメだから。何するかわかんないでしょ。
『ねぇ、りーだー？
にの、星奈ちゃんのこと…』
ーわかんないけど、多分…ね。
『だよね…』
ーでも相葉ちゃんのほうが脈ありなんじゃないの？こんなこと、あんまり言えないけど。
『…うん。じゃあね。』
ー星奈に仕事頑張れって伝えといて♪
『うん。おやすみ。』
ーまた明日ね。
たった5分くらいの電話。
その5分は俺にとって、
数字の5分よりずっと長くて、
ずっと短かった。
明日、
会社に行って、
例えば傷ついた星奈ちゃんを
俺はおかえりって
迎えることができない。
星奈ちゃんにそういうと、
仕方がないから。って、
やっぱり顔だけで微笑んだ。
☆皆さんこんにちは。ココロです。
サンデイなのに、ご無沙汰デイな更新に
なってしまってすみません!!
また頑張ります!!
よろしくお願いします。☆
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作者名：愛智＠山風ココロ | 作成日時：2015年8月25日 13時
