ゼルダの伝説<贄の姫の在りし日> (ページ6)

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伸ばさない（1）ページ6

｢…なにやってるんだい？｣

城の侍女から受けた怪我の手当をしていると先程リト族の村に帰ったはずの英傑リーバルが目の前にいた。

『あっははー。ちょっと慌ててたらころんじゃったの。変なとこ見られちゃったなぁー。』

咄嗟に笑いながら適当なことでごまかす。
真実なんて知らなくていいもの。

私が《英傑たちと仲が良いから》いじめられてるとしても、それは忙しい彼らにとっては関係ない。

…私事だ。

｢…ふーん。そう。｣

リーバルは納得できてないという顔のままくるりと向きを変え外へと飛び出してしまった。

やってしまったろうか？
こういう場面では誰でも頼ってほしいもの。
彼の自尊心を傷つけてしまったろうか？
適当に悩んでますっていう体で怪我しやすいと相談していれば、
彼はきっと

｢馬鹿だから仕方ないんじゃないの。｣

なんて
軽口で返してくれたろうに。

咄嗟のことでまともな嘘がつけなかった自分に嫌になる。

同じ英傑だけれども、彼らとは少しだけ違う
シーカー族の私の役目。
それを考えたらあまり仲良くなりすぎても困るのだが、仕方ない。

今度何かあってこういう場面に出くわしたら少しでも相談してみようかな…？

ーー
ーーー

((そう少女は考えた。))

彼女は解っていないのだ。
自分の価値も。
人との信頼の強さも。
だからこそ、彼女は自分を軽んじて
誰にも頼ることなく生きている。
そんな彼女に気がついた鳥の青年は…

｢…どうして本当のことを言ってくれないんだろうね… あのバカ。｣

ーー
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