即売会にて、どうしてこうなった。 (ページ4)

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２－２　当日、某スペースにて。ページ4

「…あの、見本を、見せていただいても大丈夫ですか？」

そう言って俺は切り出した。
オタクだろうがなんだろうが、初対面の人に話しかけるのには少々勇気が要った。

「はい！どうぞ～！」

そう「おっとり」したサークル主は言って、にこっと笑顔を返してくれた。

「新刊」と書かれたポップの目立つ見本に手を伸ばす。

それは、絵と小説の織り交ぜられた本だった。
絵は別の人が描いている、というわけではなく、どうやら絵も小説もいける人らしい。

…そして、その絵と小説は、お世辞抜きでもの凄く上手なものだった。

何故、今まで知らなかったんだろう、と心の底から思った。

「…あの、新刊、一冊下さい」

気づくと、俺は迷わずそう言っていた。

彼女はぱあっとした笑顔をつくり、一冊手渡してくれた。お金を払い、もう一度テーブルの上を見ると、今受け取った「新刊」しか並べられていなかった。

そして、量もあまり減っていないようだった。

…待て、ということは。

「えっと、失礼ですが、…初参加、ですか？」

「はい！ネットに作品公開しだしたのも一月前くらいです！」

予想通り、彼女はそう答えた。それなら、俺が知らないのも無理はない。
少々会話をした後、(主に推しCPについて)俺はそのスペースから離れたのだった。