ビビンバ〜すのイルネス〜【6】

・ ページ43

深澤side





「おい！お前、観念しろ！」


佐「いやっ！大丈夫だって！

これは古いの！」


「お前、前もそういってひどくなっただろ！

いいから！腕出せ！」






今、仕事から帰ってきて、照に事情を聞いて、

丁度佐久間が起きたからこれはチャンスって思って消毒しようとたんだけど、

まあ、ことごとくこうなった。



はじめはさ、優しく「消毒しようか」って感じで言ってたんだけど、


一気に佐久間の顔つきが変わって、

逃亡し始めて埒が明かなくなったら、俺もなんかイライラし始めて結局こうなった。





阿「今回は、ふっかでもしんどそうだね」

翔「こいつ、身体の割に力強ぇからな」





そう思うなら手伝ってよ、．．．。



もう、今日倒れたやつとは思えないほど抵抗する力が強いんだから。






「おい、そうやって逃げても何も解決されねえことくらい分かってんだろ？

ほら、大丈夫だから。

なっ？」

佐「．．．切ってないもん」


「切ってなくても、消毒はちゃんとこまめにするの。

ほら、腕出して」




無理維持にやっても佐久間は嫌がるし、嫌がるようなことを強制的にやるのはなんか違うから、

佐久間が素直に腕を出してくれるまで待つ。






佐「．．．すぐ終わらせて」


「はいはい。

じゃあ、ちょっとリストバンド外すぞ」






ほらね。

こいつもちゃんと素直だから。






そんな状況を見てメンバーももう大丈夫だと思ったのか、

ラウールは風呂に入りに行って、舘さんと康二は皿洗いを再開して、

他のメンバーも自室に戻ったり好きに過ごし始めた。





佐「．．．ふっか、」

「ん？」

佐「．．．ありがと」

「ん？いいよぉ。

でも、俺以外にもちゃんと甘えなよ。

毎回の消毒担当、俺になってるんだけど」


佐「．．．それは、．．．わかんない」





分かりやすく顔を逸らした。





はぁ、．．．。

嘘をつけないっていうのもめんどくさいねぇ。




言いたいことはちゃんと口にするし、スキンシップも多めな性格だから、

年下のラウールやめめにも上手に甘えてるんじゃないかって思われがちなんだけどさ、


意外とよ。彼。



意外と、まだ甘えきれてないと思うよ。


やっぱりどこかで、年長組なんだからって強がってるのよ。






間違ってはないんだけど、意地になってるときもあるからね。



今回も、きっとそんな感じなんだろうなぁ。




「はい、できた」

佐「．．．ありがとう、ふっか」


「どういたしまして」

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す