ビビンバ〜すのイルネス〜【6】

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ラウールside




照「寝たか？」


「寝たっていうか、気を失うように寝たっていうか。

ぐったりしてる」




過呼吸が完全に落ち着く前に、俺の方に顔を埋めるように寝ちゃった佐久間君。



またソファーに横にならせて、足を上げてるんだけど、

顔色はもう最悪だし、泣いた後が今の佐久間君を痛々しく映し出してる。








「．．．また、増えてるね」







佐久間君が寝ているうちにって思って、

そーっとジップパーカーの袖をまくる。



中はいつものように黒のタンクトップなだから、簡単に袖が捲れる。


その中には、腕の部分に真っ黒なリストバンドをつけてるんだけど、

それをそーっとめくると、見えるのは無数の切り傷。







「岩本君、ここ消毒したいんだけど、

起きてからの方がいいかな？」

照「どれどれ。

うわー、また増えてんな。あんだけダメだって言ってんのに」


「やったら起きちゃうかな？」

照「うーん、今はやめとこうか。

ふっかが帰ってきたときにでもやってもらおうか」

「うん」




ふっかさんがやるって言い始めたら、

佐久間君も反抗できないんだよね。

同い年だからなのか、急におとなしくなるの。






でも、こんなこと本当はやめてほしい。


佐久間君、ここずっとアンチに困らされてて、精神的に滅入って不安定になる日が続いてる。

本当は、あんまりそういうのに目をやらないし、気落ちするタイプでもないはずなんだけど、

ここずっと忙しくて余裕のある日があんまりなかったせいなのか、

結構打たれ弱くなってて。




こうやってリスカするし、

食欲なくて食事も抜くから貧血になるし、

精神的に不安定になって過呼吸は起こすし、


もう踏んだり蹴ったり。






照「今は落ち着いて寝れてるから、今のうちにラウールもやらないといけないことやってきな。

ここは俺が見とくし、

どうせ、皆が帰ってくるまでは起きないって」


「うん、．．．じゃあ、お願い」





実際、大学のレポートの期日が迫ってたから自室に戻ってタブレットと向き合う。





「佐久間君、．．．どんどん弱っていってる。

本当に大丈夫かな？」






ショートスリーパーで寝るの嫌いっていう人がこんなに眠っちゃうんだもん。


寝れるってことは安心材料の一つなのに、


なんで、こんなに心配になっちゃうんだろう。

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