Orangeのままに【9】

・ ページ18

康二side




「なに？ふっかさん．．．」






振り返ると、今までに見たことないくらいの冷酷なふっかさんの顔を見て、

背筋が凍る感覚になった。






深「俺は、康二にドッキリ仕掛けて、それで、

康二があんな悲しそうな顔して、泣いて、パニックになった時に、

本当に自分がやったことを後悔した。


いくらテレビでも、引き受けていい仕事と

そうじゃないこととの線引きができてないんじゃないのかって。


メンバーのことをこんなに悲しい思いにさせることくらい初めから分かってたのに、

それを面白おかしく笑えることじゃねえよなって。




康二はどう？


俺らが騙されてるの見て、面白いって、笑えるって、そう思った？」







淡々と話すふっかさんは、全く何時もの優しいふっかさんじゃなくて、


本気で怒ってるふっかさんやった。







「俺やって、．．．やってて気持ちよくなんてないよ。


そもそもメンバー騙してんねんで？


ええ気持ちになんてなるわけないやん。


でも、俺は今回そういうものを引き受けてでも、皆のええ絵を撮りたかったんよ」




翔「良い絵ってなんだよ。

何を引き受けようとしたんだよ」





「．．．いつも俺は騙されてばっかや。

それを見て、見てくださってる視聴者さんはテレビの前で笑ってくれてる。


でも、それは騙されてる俺がおもろいねん。


やから、騙してる俺は面白なくて、逆に反感をもらっちゃうねん。


騙されろよって。それがおもろいんやからって。


やったら、それを全部受けてでも、

皆のことをもっとよく見えるようにやろうって思ったんよ。


やから、俺も！

．．．俺も、半端な気持ちでやってなんかない」










ふっかさんやしょっぴーの顔を見ては言えへんかった。

だって、どんな顔してるかは何となく予想がつくもん。


でも、言いたいこと言わんかったら誤解生んだままやし、

それだけは嫌やってん。







翔「ふざけんなよ！」


「．．．っ！」






廊下にまで響くくらいのしょっぴーの声に驚いて、顔を上げると、


しょっぴーが目に涙をためて唇をかみしめながら俺のことをもまっすぐに見てた。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す