佐久間の色の明日【8】 (ページ20)

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阿部side

ガラッ
「佐久間ー、今日も来たよ」

ふっかが倒れてから2日。

ふっかも順調に回復していって、さっき康二から

“ふっかさんの寝顔”って言って、お昼寝してるふっかの写真が送られてきた。

「佐久間ー。

佐久間は逆に眠りすぎだよー」

そして、そんなふっかとは対照的に、早く起きてと思ってしまう対象が俺の目の前にいる。

発作を起こしてからもう5日目。

まだ目が覚めない俺のシンメ。

あれから変わったことといえば、点滴の数が減ったことくらい。

それ以外は何も変わっていない。

「佐久間。今日はね、佐久間の好きな金木犀の花持ってきたよ。

病院に持ってくるには匂いが強いかなって思ったんだけどね」

簡素な病室に金木犀のきれいな黄色がよく映える。

まるで、佐久間の笑顔みたいに。

どんなにしんどい日でも佐久間の笑顔見るだけで、元気になってたなー。

「ヒクッヒクッ．．．早く起きてよ」

泣くつもりなんてなかったのに、涙が止まらない。

なんでっ．．．

両手で顔を隠して涙を流してた。

そんなとき、

ピトッ

俺の手に何かが触れた。

そう思って、目から手を放してみると

佐「．．．ぁ．．．っちゃ．．．」

「佐久間．．．佐久間！」

いつもみたいな子犬のような大きくてクリクリした目ではないけど、

小さくてつぶらな、俺の大好きな佐久間の目が俺をしっかり捉えてた。

「佐久間！佐久間！分かる！？」

佐「．．．っか．．．ぅ．．．よっ」

声がうまく出てないけど、俺にはちゃんと“分かるよ”って聞こえた。

佐久間はそのまま手を口元に持って行って、

酸素マスクを外そうとしてる。

佐「．．．ぉれっ．．．ぃやっ．．．ぁずす．．．」

「外したいの？

待ってね。先生呼ぼう」

俺の判断じゃ外せないし、ナースコールを押た。

佐久間の酸素マスクも無事外れて、診察してもらってる間に俺は、

メンバーに連絡を取った。

そういえば昔から佐久間、酸素マスク嫌がってたな。

なんかこれあると話しずらいんだって。

「佐久間、皆仕事終わったら来るって。

今日オフのメンバーはこれから向かうって。よかったね」

佐「．．．ぁいたい」

診察の結果問題がなかった佐久間は、心電図はそのままだけど、わりかし元気そう。