佐久間の色の明日【8】 (ページ17)

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阿部side

「頑張ったね、佐久間」

医者の言われたその夜を無事越した佐久間は、

ICUから出て、個室の一般病棟に移された。

他の皆もまだいたいって言ったんだけど、

寝不足なのと、仕事があるメンバーもいたから今はふっかと2人。

ふっかも相当照から帰れって言われたんだけど、

ふっかに珍しく融通の利かない頑固さぶりを発揮して残った。

「ふっか、少し寝たら？

ふっかも昨日仕事から帰ってきてそのままでしょ？」

深「．．．大丈夫」

さっきからふっかは、佐久間の手を握りながら、ずっと佐久間から目を離していない。

佐久間の腕には点滴。

胸には心電図。

口元には酸素マスク。

心電図の定期的な音が佐久間が生きてる証拠。

「ふっか、せめてお風呂に入ってきなよ。

その間俺がちゃんと佐久間のこと目を離さずに見とくから」

もうほぼ無気力なふっかを強制的にお風呂に入れる。

仕事前に寄ってくれた目黒が、佐久間の入院セットやら俺らの着替えやらを持ってきてくれた。

多分、中身を用意してくれたのは照と翔太。

すごいバックの中がきちんと整理されてて几帳面さが出る。

「佐久間、起きたらメンバー皆に叱られるね。

覚悟しとかなきゃだよ。みんなのこと泣かせたんだから。

その罰は重いよ」

なんであんなことしたんだろう。

佐久間らしくない。

いつも治療だって頑張ってた。

沢山我慢だってして、

皆に迷惑かけないようにって。

佐久間の口癖だった。

そんな佐久間がなんで．．．。

俺にも全然わからない。

深「．．．風呂あがった」

お風呂から上がったふっかが、病室に入ってきた。

その目はあまりにも光が入っていない。

佐久間がこんな状態になると、メンバーの心に明かりがともらなくなっちゃった。

まるで、太陽がなくなった真っ暗な月みたい。

あれからというもの佐久間はここ2日以上目が覚めていない。

その間も、ふっかは仕事に行くときも終わった後も面会ギリギリまで

佐久間のところにいるようになった。