月下美人【青】 (ページ10)

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寝起きはすっごくわるい。

目覚まし時計がジリジリ鳴ったぐらいじゃ
起きないし、ゆっさゆっさ揺さぶっても
起きるか起きないかビミョーなところ。

｢ねぇ、入るよー？｣

ブレザーに手を通して、リボンをつけながら、
ドアをコンコン叩いたって起きるわけなくて。
返事すらないお兄ちゃんの部屋に。

｢ねぇ、もう７時だよー｣

翔太｢……………、んー…｣

ぐっちゃぐちゃにまるまったお布団のとなり。

………う、

へんな食生活してるくせに、
めくれあがってる服の隙間から、うっすら見える腹筋とか。がっしりした二の腕とか、首筋とか。

男の子って感じがするそれにいつもどきってするから、あんまり見ないように…………、

｢わっ、｣

翔太｢……………っせぇな、｣

小さな舌打ちと、この態度。

どうなの？

起こしてもらわなきゃ昼までいっちゃうくせに。

…………けど、やっぱりどきってする。わたしのことも見ないで、そんなふうに腕をぎゅう…ってされると、

｢……は、なして……、｣

翔太｢んな力いれてねーよ｣

｢も、やだ………｣

振り払おうとしたって、離してくれないもん。
ほら、逃げねーの？って。

まだ目を閉じたまんま、
わたしの腕だけつかまえて。

朝はあんまり機嫌がよくないけど、

………寝起きの顔も、きゅんってする。