月下美人【青】 (ページ9)

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翔太｢お前さー…｣

｢………ん、｣

翔太｢寝る気ある？俺がお腹とんとんしてやったら眠くなる癖、もうなくなった？｣

ちがう……、必死に目開けてる。

ほら、２時前だよもう。女の子とこんな時間まで電話してる人がわるいんだもん。

翔太｢相変わらずちっせーなぁ、｣

ちょっと拗ねたら、お腹のところからするりと手が上がってきて。

｢……っるさい、｣

翔太｢さっきまでしゃべってたあの子ね、まじででけーの。お前の倍はあるよ。｣

おどけた顔して、後ろからのぞきこんでくる。いいもん。そんなのでしかお兄ちゃん夢中にさせられないんだよ。

………って、思うようにするから。

｢女たらし。ばか。……くず、｣

なんて暴言ばっかり吐き捨てて、ソファーから立ち上がろうとしたら、それを逃がさないように
ぎゅううってまた抱きしめてくるお兄ちゃん。

拗ねた？って笑って。

さっきまで寝ろ寝ろうるさかったくせに。

翔太｢いい子だから、もう寝んねして。｣

こんなふうに子ども扱いされることなんか、もう慣れっこだし。くやしいとか、嬉しくないとか、そんな感情とっくに捨てちゃったけど………、

翔太｢………、｣

わたしのお腹をとんとんしてる反対の手でスマホをいじって、選んでるのはきっと明日の女の子。

……それにカチン、ってするからわたしは

やっぱり本気で好きなんだろうな。