月下美人【青】 (ページ7)

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壁にかかってる時計に目をやると、針はもう１時半をまわってて。………さすがにまぶたが重たくなっ、

｢…ったぁ、｣

“こ、こ、で、ね、る、な”

ぴし、っておでこに感じた痛み。
左手でそこをさすりながら、ごしごしと目をこする。

ソファーの下。床に座って、
足元の部分にもたれかかって、うとうと、
ユラユラ。眠いけど、眠りたくない。

ずっとだるそうな顔してるくせに、まだまだ終わりそうにない女の子との電話。……つまんない。

後ろで寝転んでたお兄ちゃんが、

よっこらしょ…って体を起こして。

また目を閉じそうになるわたしの体の両側に、足を投げ出して座る。

翔太｢あ？ちげーって、妹だよ｣

翔太｢なんで嘘つかなきゃいけねえの。
ん？うん、｣

女といるんでしょ、って？

……また疑われたのか。

馴れ馴れしい、あまーい声で女の子としゃべるお兄ちゃんが、なんだか少しだけくすぐったい。

ソファーに座ったお兄ちゃんの、足と足の間。
床にぺたんと座ってたわたしが
こっくり、こっくり……寝そうなのを後ろから

察知したのか、腕をぎゅうって掴まれる。

｢んぅ、………｣

翔太｢寝ろっつってんのに。何頑張ってんの？｣

スマホを耳から遠ざけて、めんどくさそうな声でそう言われたすぐ後。お兄ちゃんは女の子の声がするそれを、肩と耳で器用に挟んで。

後ろからわたしの両脇に手を入れて、よいしょ…って体を持ち上げる。

床にぺたんってしてたわたしはいつのまにか、ソファーの上にいて。

｢………ん、｣

太ももの間、っていうのかな。がばって足を開いて座ったお兄ちゃんの前に、わたしもすとん…って座らされて。

後ろから抱きしめられてる、みたいになった。