月下美人【青】 (ページ49)

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阿部｢はい、じゃあゆっくりしなね？｣

｢……ありがとうございました、｣

阿部先生の車で送ってもらって、

ここについたのがどれくらい前だっけ………、

少しだけ残ってた気力でなんとかお風呂に入って、モコモコしたパジャマに身を包んで、

テレビもつけないままリビングのソファーにだらりと横になった。

スマホだけ見つめて。お兄ちゃんに電話しちゃおうかな、なんて……考えてはやめてのくり返し。

………だって今日も、あの人といるんでしょ？

気になるんだもん。美香さんが何するか。

お兄ちゃんに恋する気持ちなら、わたしは痛いほどわかるから………

でも、今日だって早く帰ってくるはずもなくて。忘れよう忘れよう、考えないようにしようって、今夜も１人きりで目をつぶった。

ソファーに預けた体が
、ズンズン沈んでいくみたいな感覚。

熱にうなされているよりも、

恋するほうがずっとつらいと思った。