月下美人【青】 (ページ46)

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｢………どうしたらいいか、わかんない｣

阿部｢うん｣

｢だめって思っても、距離を置くなんて無理だし、むしろどんどん好きになってく………、｣

そっか、ってやさしい声で話を聞いてくれた先生。ほかの先生にもモテるらしいって、
誰かが言ってた。

今だって、わたしを家まで送るために、車のキーを取りにいってくれてる。

ジェントルマンだ………

｢……………ん、｣

そろそろ戻ってくるかなって、重たい体を力いっぱい、んしょ…って起き上がらせた瞬間。

ガラガラ、ってドアが開けられる音がして。
先生かなってカーテンを開けようとしたけれど、なんだかそれっぽくない雰囲気に、思いとどまってしまう。

握りしめただけで、開けることのなかったカーテン。その向こうにいたのは、

｢だから、何？用ないなら、｣

｢あるから呼んだの。｣

聞こえてくるのは、男女の声。

｢もー…はやく言っ、｣

｢辰哉くんが好き。｣

時間が止まったみたいだった。
黙り込んだ深澤くんは、返す言葉がないのか、
ためらっている様子。

相手は誰なんだろう。

深澤くんやお兄ちゃんの同級生かな。

やっぱり聞かなかったことに、

深澤｢美香かわいいんだからさ、
妥協しなくていーじゃん。翔太いけば？｣

……できなかった。