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ぱち、って次に目が開いたのは、
阿部先生のやわらかい声がわたしを呼んだとき。
阿部｢カーテン開けて大丈夫？｣
｢あ、……はい、大丈夫です｣
咄嗟にうつむいて、さっきとめてもらったボタンを確認してから、返事をした。
お兄ちゃんとは真逆の、ゆっくりした開け方。
｢具合はどう？｣って、おでこに触れる先生の手がまだひんやり冷たく感じるから、熱は下がってないのかな………
阿部｢しっかし寝起き悪いね、かなり呼んだけど｣
｢、すいません……｣
阿部｢ほんっと、揃いも揃って。ふふふ｣
なんだか、お兄ちゃんと一緒にされてるみたい。
白衣のポッケに両手をつっこんで、
けらけらと笑いながら丸椅子に腰を下ろす先生。
初めてしゃべったけど、なんだかお兄ちゃんと仲がよさそうなことはもうわかってる。
たまに聞くもん。
お兄ちゃんが｢阿部ちゃん｣って呼んでるの。
阿部｢あんまりさ、受け入れられないかもしんないね｣
｢何が、ですか？｣
阿部｢わかってるでしょ、自分で｣
いつ、どうして、先生は気づいたんだろう。そんな素振り一度も見せてないはずなのに。
ドキリ、と音をたてた心臓がおさまらない。この人はわたしの、味方なのかな………
阿部｢だめってわかってても、
もう無理なんだよね……好きになっちゃったもんはさ。｣
｢…………ん、｣
阿部｢けどあいつたらしだから、つらいでしょ(笑)｣
ひひ、って白い歯を見せて笑う先生が、
どうしても敵には見えなくて。
この人なら味方してくれるかな……って少しだけ思う。思わぬところに出来そうな吐き出し口に、ほっと胸を撫で下ろした。
これから、が見えないから………
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作者名：恋 | 作成日時：2021年7月20日 1時
