月下美人【青】 (ページ42)

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時間が止まったみたいに、静かな空間。

びっくりして、目を閉じる暇もないまま、お兄ちゃんの唇はゆっくりと離れていった。

翔太｢……もっと？｣

｢う、ううん………あの、｣

翔太｢えろいのが欲しかったんじゃねーの？｣

………な、にしたか、わかってる？

保健室のベッドで、わたしたち

｢ん、やぁ………｣

翔太｢シー。誰か来たらどーすんだよ、｣

どさ、ってベッドに倒れこんだのは、お兄ちゃんが覆いかぶさってきたからで。

でも、顔の横に肘をついて、わたしを見下ろす
お兄ちゃんがやっぱりかっこよくてたまらないから………

ぱちって目が合って、また降りてきた唇を、今度は避けることもしなかった。

ちゅ、ちゅ、って何回も。

わざとらしく音を立てて、お兄ちゃんがキスを落としてくる。かぷって唇を食べるみたいに、

何度も何度も吸いつくから……

翔太｢ちゃんと息して。｣

だんだん息が詰まって、ハァハァとあがっていく。

そんなわたしに気づいて、唇を離したときは、
背中をとんとんって、

ちゃんと息しないと苦しいよって、そう教えてくれた。

キスをしながら、器用にブレザーを脱いで、
ベッド下にポイってして。わたしのリボンにも
手をかけて、スルスルとはずしていくお兄ちゃんの手。

だめだって心が叫んでるのに、そんなのも簡単に無視できてしまうこの状況。

………だってかっこよかった。

お兄ちゃんだけど、ずっと恋してる、大好きな人だもん。

｢………うつ、っちゃうよ……ねぇ、｣

翔太｢…………｣

｢お兄ちゃ、｣

キスの途中、たまに薄目を開けて見てるの。わたしのこと。

……こんな気持ちなんだね、お兄ちゃんにちゅーされるって。やっと女の子と肩を並べられた気がして少しだけうれしくなる。

唇を離して、自分のネクタイの結び目を持って、グイグイってゆるめて。しまいには取り去って、ぐちゃぐちゃにしてポッケに押し込むその仕草が、今までそれを見て想像してたことと、

ほとんど一致する。

……から、女の子みんなにしてるんだね。

こんなこと。