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｢…………、｣
じーっと見つめられる。
寝てたのかな、まだぼーっとしてそうな感じ。
｢………っくしゅん、｣
両手で口を包んでくしゃみをしたら、
呆れたようにお兄ちゃんがため息をついた。
それが耳をかすめたから、
あんまり関わらないようにしようって、
もうひとつのベッドのカーテンに手をかけようとしたら
翔太｢こっち来い。｣
背中に感じる低い声。
……行けないよ学校だもん。
なんて心で言い訳しながらも、
ほんとは移っちゃうのがイヤっていう好きな人への純粋な気持ちも、持ち合わせてる。
｢…………いけな、｣
翔太｢来いっつってんの。｣
ほら怒ってるもん。起こさなかったのがいけなかったかな。頭をぐしゃぐしゃって掻いて、
ため息をつくお兄ちゃん。
……どういう、気持ち？
翔太｢聞こえてんだろ。｣
｢………き、こえてる…けど、｣
翔太｢………｣
｢……ちょ、っと…………お兄ちゃ、｣
ベッドから立ち上がって、
めんどくさそうにわたしの手を掴んで、
ぐいって引っぱる。
わたしの抵抗なんかお構いなしの、強い力。
｢やっ、｣
翔太｢いっつも甘えるくせに。｣
｢…………ん、………学校だか｣
ベッドのはじっこに座らされて、
音を立ててカーテンが閉まって、狭いところに２人きり。静かな空間がわたしたちを包んで。
どき、どき、って心臓の音が伝わらないか心配になる………
翔太｢………何避けてんだよ。｣
｢、だって………｣
翔太｢そんなやだった？昨日の、｣
……やだった。
けど言わない。言えないし。
キスぐらい勝手にさせてくんね？って。
今だってほら、呆れてるくせに。
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作者名：恋 | 作成日時：2021年7月20日 1時
