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もぞもぞ、って布団が動くカーテンの向こう。
早くしなって阿部先生が誰かに言うけど、
その影は出てくる気配がなくて。代わりに、
翔太｢………やってねーわ、｣
ちょっと低い、お兄ちゃんの声がした。
ほらやっぱりいるんじゃん。だから入りたくなかったのに……。このまま帰りたいなぁって、
阿部先生の白衣を見つめながら思う。
どうせ寝転がって、起きようともしないよ？
先生。
今朝は起こしてあげなかったの。
………だからきっと遅刻して、ここにいるの。
あんまり顔合わせたくないし、なんて言われるかわかんないし、怖いし。昨日から話してないもん、
阿部｢ほらほら、ベッド空けなさい。｣
翔太｢は？そっちにもあんだろ。｣
ほら機嫌悪い。
わかるもん。
顔なんか見なくたって、声色でわかる。
阿部｢お熱あんだから、寝させてあげて？｣
翔太｢だから２つあんだろって｣
阿部｢いいのー？そんなこと言って。
だーいじな妹ちゃ｣
シャッ、って勢いよく開いたカーテン。
してやったり顔で先生が笑う。
こんな急にご対面すると思ってなくて、
おでこに跡が付いてないか気になって
慌てて右手で隠す。
まだ少しだけ寝癖のついた髪。
ちゃんと着てない制服。
不思議そうな目でわたしを見つめるお兄ちゃん。
………穴開きそう。
起き上がって、ベッドのふちっこに腰かけて。
降りる気配もなくこっちを見てた。
昨日の今日だから何しゃべっていいかわかんなくて。先生に助けを、
阿部｢ちょっと職員室いってくるわ俺。｣
………求めることができなかった。
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作者名：恋 | 作成日時：2021年7月20日 1時
