月下美人【青】 (ページ36)

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｢ねぇ、大丈夫？｣

｢……うん、へーきへーき｣

授業中、となりの子が声をかけてくれるけど、

なんだかそれに答えるのも精一杯。

やだなぁ。

なんで会っちゃったんだろ、

可愛かったけど、けっこうきつかったな………

お兄ちゃんにはちょうどいいのかな、

ひまな時間があればすぐに、
考えちゃうのはお兄ちゃんのことで。

昨日のキスとか、そういうのの前にお兄ちゃんがどんな気持ちで彼女といるのか、

そればっかりが気になった。

｢………｣

口悪いし。

わたしのこときらいなの？って思うし。

お兄ちゃんのきらいなとこなんか両手じゃ足りないくらいあるのに。

たまーに見えるやさしさが好き。
寂しいときとか、なんとなく沈んでるとき、

無意識かわかんないけど…………ちゃんと甘えさせてくれるところ。

あったかい手でとんとんしてくれるから、

眠い時間も大好きだし、幸せになれるの。

ばかみたい。映画みたいな、うまいシナリオでは進まない｢禁断の恋｣。

楽しくもなければ、得もない。

ただつらい思いと苦しさで胸がいっぱい。

初恋なのに。

大事な大事な、初恋なのにさ。

片想いで終わりそうなんだもん……、

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