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恋って、近くにいる人が有利だってそう聞いたことがある。
でもうまくいかないの。
ドラマみたいに、禁断の恋だって何だって、
そのまま両思いになって、くっつくなんて。
今のわたしたちからは想像もできないこと。
わたしのこと見てないもん。
傍にいたって、向いてる先はいつも女の子で。
別に好きでもないし、気になってもいない、
ただ体を重ねるだけの子たちが何人も。
日替わりで、今日は誰?って。名前すら覚えてないような、かわいいだけの女の子。
それでもみんなを満足させてしまう、虜にさせてしまうお兄ちゃんは、どんな魔法を使ってるの。
できることなら解いてほしいよ、わたしも……
あのままお風呂に行っちゃったお兄ちゃんの背中に、もうなんにも言えなかった。
深澤くんじゃなくて、
ほんとはお兄ちゃんが好きだって、
どうせ言ったって笑うくせに。
本気に思わないでしょ。でもわたしは、体だけの関係なんて持ちたくない。深澤くんだって、
やさしいし、甘えさせてくれる。わたしのことを好きでいてくれるにはもったいないくらい、
かっこよくて、賢くて、よくできる人。
なのに、何回好きって言われてもそっちに向かないのは、お兄ちゃんのせいなんだよ……って、気づいてくれる日は来るの?
テレビの音をかき消すみたいに、リビングに鳴り響く着信音。辿ればそれは、お兄ちゃんのスマホで。
画面には「美香」の文字。
さっきまで電話してたくせに、また?
出てきたらまたかけ直して、長電話が始まるんだろうな……って考えたらまた嫌になって。
………なんか怒ってたし、
なんとなく今日はもう話したくない。
そう思って、お風呂から出てくる前に自分の部屋にこもった。けど、
やっぱり目を閉じる前にいつも思うんだ。
お兄ちゃんは、
…………誰が好きなの、って。
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作者名:恋 | 作成日時:2021年7月20日 1時