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どさ、ってソファーに腰を下ろしたお兄ちゃん。すぐさまその膝に乗ったら、さすがにびっくりしたのか、
えっ…ってちいさな声を漏らしてた。
けどやっぱり、電話の向こうで「ん?」ってかわいらしい声がするから。
翔太「なんでもねえって。うん、なんだっけ。あーそうそう、」
この、気にもされてない感じ。
モテるお兄ちゃんじゃなかったらよかった。
女の子が、こうやって毎日毎日寄り付いてこなかったら、少しは見てくれた?
わたしの入る隙間があったかもしれないのに、こんなかっこいいから、ずるい。
どんなにひどいことしてきたって、こうやって触れちゃえばゼロに戻るんだよ。
それはきっと、周りの女の子と一緒なの。
だってこんなに毎日違う子と会ってたら、女の子だって嫌がるに決まってる。
でも懲りないんでしょ?
どんなにいやだって思ってても、会っちゃえば結局そう。
嘘でも「好き」って言われたら、その気になって。触れられちゃえば、それでもいいってきっと思うんだ。
翔太「ん?いや、そんなことねえだろ。うん、」
翔太「考えすぎだって、あはは」
胸をつん、って刺してくるような笑い声。
ちょっとかすれてる。
………好きなのになぁ、その声も。
わたしに向けられてたら。
ソファーに深く腰かけた、お兄ちゃんの膝の上。今日は向かい合わせに座って。
彼女みたい?
ねぇ、みんなこんなことする?
「…………ん、」
なにか言おうとすればすぐに、お兄ちゃんの手が伸びてきて、
わたしの口元に人差し指を当てて、シーって。
…………ばか。
その口を見て、またあの光景が浮かんだ。
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作者名:恋 | 作成日時:2021年7月20日 1時