月下美人【青】 (ページ26)

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見せないように、って。深澤くんがしてくれたのに、逆らったわたしへの罰。

向こうに見えたのは、
ホテルから出てくるお兄ちゃんと女の子。
お兄ちゃんの腕にしがみついて、

肩にちょこんって頭を預けて幸せそうに笑うその人。

……それだけなら、

それだけならまだ、心がきゅう…ってなるくらいだったのに。そんなホテル出てまで、
しなくてもいいでしょ………

お兄ちゃんだって、ずっとめんどくさそうな顔してるくせに。そうやって誘われたら断らないんだ。

だからきらい。

だいっきらいなの。

……あ、今日もネクタイがない。

そう思った瞬間だった。

女の子が急に立ち止まって、
お兄ちゃんをぐるって自分のほうに向けて。

首に腕を回して、ちゅーしたの。

そしたら、まためんどくさそうな顔してお兄ちゃんは、女の子の唇をかぷって食べた。

女の子はうれしそうに笑って、もっとして……って、お兄ちゃんに抱きついて。

それに応えるように、

お兄ちゃんは女の子の後頭部に手を添えて、食べるようなキスをしたの。

何回も、何回も、舌をからませて。お兄ちゃん、男の子の顔してた。

見たくなくて、深澤くんにまたよしよしされたけれど、つらくてたまらなかった。

こんなに胸が苦しいもん。

やっぱりお兄ちゃんが好きなんだよ……、

どうしてもどうしても。

お兄ちゃんに見てほしくて、いつも甘えてるのに。

ねぇ、そんなにちゅーしないでよ。

………泣きたくなっちゃうから