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｢あれぇ、｣
ぴちょん、って葉っぱから水滴が落ちる。
朝から降ってた雨がやっと上がって、
太陽が顔を出してくれた午後。
お料理の本でも借りようと図書館に寄ったら、
少しビックリする
まあるくて、柔らかい笑い声が耳をかすめた。
深澤「まーた会っちゃったね。｣
｢………こんにちは、｣
深澤｢んもー…そんな怖がんないでよ。
いっつも抱きつくわけじゃないってば、｣
ははっ、って。
ほっぺをきゅ…って上げて笑う深澤くん。
その手に抱えられてるのはテキストや電子辞書。
……お勉強してたのかな、珍しい…かも？
深澤｢本借りにきたの？｣
｢あ、えっと………うん、｣
深澤｢そっか。俺はね、絶賛勉強中ー｣
｢……すごい、ね｣
だって両手にいっぱい。背中にしょってるリュックもパンパンで、やっぱり賢い人はちがうなぁ、って。
深澤｢今日はするつもりなかったんだけどさ。翔太に断られちゃったから、仕方なく。｣
｢……お兄ちゃん？｣
深澤｢そうそう。保健室で会ってた子と、
そんまま遊ぶことんなったーつって。ドタキャンだよ、｣
まったくもう…、って困った顔して笑いながら、
深澤くんはテーブルにどさっと荷物をおろす。
……なんだろう、この感じ。
にこにこして、嬉しそうにわたしを見つめてくるその、きれいな瞳に。
どきり、って心臓が音を立てる。
深澤｢ちょっとさ、翔太のとこ行ってみる？｣
｢……へっ、｣
深澤｢いいじゃん、行ってみようよ。｣
きゅ…とわたしの手を握って、有無を言わさず
深澤くんは歩き出した。
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作者名：恋 | 作成日時：2021年7月20日 1時
