月下美人【青】 (ページ19)

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授業中の階段って、こんなに静かなんだね。

まるで学校に２人きりかと思うくらいに、
わたしたちの小さな声しか聞こえない。

こんな、兄妹でぎゅうってしてたら、みんなびっくりしちゃうね。

お兄ちゃんは、きっとわたしを妹として見てる。ちっちゃい時から、成長してないからかな。だからこんなふうに子ども扱いするのかな。

翔太｢ほら、もう離して？兄ちゃん保健室いかなきゃ、｣

｢………なんで？｣

翔太｢んー？……わかってるくせに聞かねーの。｣

わたしの手をつかんで服から離して、めんどくさそうにつぶやく。

翔太｢何、怒ってんの？｣

｢……おこってないし｣

翔太｢いや怒ってんだろ、｣

｢おこってないもん。………ばか、くず……ちび、くそ翔太……………う、｣

翔太｢静かにしねえとお前、口ふさぐよ？｣

……ねぇ、すっごい心臓がうるさい。

むにゅ、って口をはさまれて、

タコみたいにされてるわたし。ふさぐ…って、何。キスするって言ってるの？ねぇ、

翔太｢嘘だよ。……んな泣きそうな顔すんな。｣

……そんな素敵な嘘、つかなくていい。そんな夢みたいなの、傷つくから。