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とっくにチャイムも鳴り終わって、もう午後の授業が始まる時間。
誰もいない階段の踊り場で、お兄ちゃんが、ん?って眉をあげる。
…………怒るって思ったのに、
翔太「なぁ、A。」
そんな目されたら、わたしだって萎んじゃう。
眉間にきゅ…ってシワを寄せて、少しだけ余裕のなさそうな、心配そうな、そんな顔。
ずっと強気で、いっつもわたしの先を行ってて、手を伸ばしたって絶対届かないくらい、なのに。
「…………お兄ちゃ、」
首の後ろに手が回ったと思ったら、そのままぐって引き寄せられて……、
気づいたらもう、腕の中にいて。
いっつもいじわるばっかりするくせに、こんなことされたらまた………
翔太「………好きかって聞いてんの。」
くぐもった声。背の高いお兄ちゃんが、わたしの耳元に口を寄せて、くすぐったいくらいの距離で言うの。
「……ん、」
翔太「ん?」
「…………きじゃな、…もん」
お兄ちゃんの胸のところに、ぎゅーって顔を押しつけて。制服にしがみついて、んーって。
翔太「も、……ぎゅーってすんな。伸びるから、」
「……すきじゃない、」
翔太「…………」
「……すきじゃないもん、」
わかったわかった、わーかったから、って。背中をとんとん。
ほんとにわかった?
わたしがなんで、深澤くんのこと好きって
思われるのがいやなのか、ほんとにわかってる?
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作者名:恋 | 作成日時:2021年7月20日 1時