月下美人【青】 (ページ14)

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………ったく。

そう、だるそうにかばんから財布を出してきて

翔太｢ん。｣

差し出してくれた千円札を受けとって。
さっきからヒシヒシと感じてる先輩たちの視線からもう逃げたくて、ありがとうって立ち去ろうとしたら、

深澤｢待って待って、｣

深澤くんにつかまる腕。席に戻ろうとしたお兄ちゃんがふっと足を止めて、こっちをうかがう。

……………気になってくれてる、の？

深澤｢ねぇ、そろそろデートしてよー｣

｢………、｣

あまい声で、深澤くんが
わたしの腕を掴んでぶんぶんと振ってくる。

深澤｢ちゅーでもいいよ？｣

｢へっ、｣

すっごい困った顔してるの。

…………ねぇ、お兄ちゃん気づいてる？

深澤｢ぎゅうしてあげよっかー、｣

｢え、あの……｣

深澤｢はい、ぎゅー、｣

逃げる間もなく包まれる体。

みんな見てるよ、深澤くん、

廊下の真ん中。先輩たちがたくさんいるこんなところでわたしは、罰ゲームみたいな……、

翔太｢ふっか、｣

ずっと、ほっぺをむにむにされることはあったけど、こんなことされたのは初めてで。

知らないうちにほっぺも赤くなってたかもしれない。

だから、そんな声してるの？

翔太｢…………ちょっとさ、離れて？｣

………お兄ちゃん。