阿部担の彼女に勝てない【橙】 (ページ43)

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ショップに着いてもAちゃんは
必要以上に俺と距離を取ってるみたいで。

なんだか俺の方が寂しくなって(笑)
コソコソ話しかけてみる。

深澤「…なんかいいのあったぁ？」

「ん～…あんまりよくわかんなくて…」

そうだよな、
そもそもここってメンズ物がメインなのに
わざわざ…ってことは

「もしかして康二にプレゼント？」

もしかしなくてもそうだろうけど
こくん、と頷く彼女。

「康二くんもよくこの店来るんですよね？」

深澤「あ～、まぁ、そうね。」

「だから来てみたかったんだけど、
やっぱりプレゼント選ぶのって難しいな…」

深澤「ん～なんか候補はないの？
これか、これかな～みたいな、さ」

「…うーん、あの、
これとかどうかなーって思ってるんだけど…」

深澤「え、すげぇかっこいいじゃん！」

ショーケースのガラス越しに指さしたのは

ゴールドのイヤーカフ。

深澤「最近康二イヤーカフ欲しがってたし
いいじゃん。似合いそう！」

「そうかなぁ…うーん…」

それからしばらく
悩んで悩んで
そのイヤーカフを買ったAちゃん。

深澤「俺が一緒に選んだって康二に秘密ね。
俺、怒られちゃう(笑)」

「そんなことないと思うけどなぁ…」

深澤「いや、まじでAちゃんのことになると
超必死だかんね、あいつ。
この前だって……あ、」

阿部ちゃんのハンガーにかけたハレンチな
コスプレ的なやつ…

「なに？」

深澤「あ、いや、」

にしても、

あの写真のコスプレを…してた？
本人がここにいるんだもんなぁ…

って、いかんいかん！
ダメだぞ深澤！変な妄想は！！

俺の頭の中の葛藤なんて知らない
きょとん顔のAちゃん。

首かしげちゃって、なーんかかわいいの。