お酒と夜[ブレンダ]▼番外編 ページ20
普段言えない言葉も、お酒の力を借りると言えたりするらしい。
私に教えてくれたその人は、お酒の瓶を片手に続けた。
��酒はコミュニケーションだから、辞められないんだ��と。
だから、私は瓶を取り上げて言ってやったのだ。��貴方が酒を呑みたいだけでしょ��って。
取り上げられたその人──ホルヘは、借りてきた猫みたいにしおらしくなったっけ……
なんて、昔話を思い出したのは、今目の前にいるこの子のせいだろう。
「……前に気をつけなさいって言ったはずだけど？」
溜め息を吐く私に構わず、Aはニコニコしている。
今日は食糧の在庫管理があって、戻るのが少し遅くなった。
急いで戻ってきてみたら、半分出来上がったこの子が、「ブレンダ、おかえり〜！」といきなり抱きついてきたんだから何があったかすぐにわかった。
まあ、お酒の匂いもしてたし、現行犯も一緒だったからね。
「ホルヘ、Aに飲ませないようにあれほど──っ！」
「おいおい、今回は俺じゃないぞ。こいつ、だ」
ホルヘはそう言って、親指で奥を差した。
そこに礼儀正しく座っていたのは、彼が最近可愛がってるエリスだ。
「エリスが？」
「ああ、嘘じゃない」
ニヤ、と笑う貴方も呑んでる気がするけど、今はエリスから事情を聴かないといけない。
未だに抱きついたままのAを何とか剥がして、エリスを見下ろす。彼の肩がびくっと震えた。
「……あ〜っと、ごめん。なんというか……わざとではないよ。間違えたんだ、ジュースと」
「間違えた？」
「ホルヘは、普段ここにあるボトルで飲むのはジュースって言っていたから、てっきり「おい！それは違うだろ！ジュースみたいなもんだって言ったんだ」」
「え？あ……っと、そうだったかも」
ホルヘと私、２人の顔色を窺いながら言葉を選ぶエリスが、哀れに見えてきた。
「……じゃあ今、貴方が持ってるのもジュースなわけ？」
「いや、これはだな……」
「没収ね」
「あ、おい！それはないだろ！？」
ホルヘの手から水筒を奪い、テーブルに置く。
よくよくちゃんと順を追って聞けば、ここに１人でいたAに気づき、エリスが気を遣って何か飲ませようとしたのが、ホルヘのお酒だったらしい。
「貴方たちは戻って。Aが待っていたのは私だから」
「久しぶりの酒だってのに……」
「僕がギャリーに特製ジュースを作ってもらおうか。何杯飲む？」
「あんなの何杯も飲めるか！」
「え？僕は美味しいと思うけどな」
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灰(プロフ) - XPさん» XPさん、コメントありがとうございます^ ^畏れ多い言葉をありがとうございます。大好きな映画を通してXPさんと出会えたこと、こうしてコメントを残してくれたことが私にとっては両手いっぱいの花束をもらえたように嬉しく、とっても幸せな気持ちになりました^ ^ (1月11日 14時) (
レス) id: aeb9b27ec4 (このIDを非表示/違反報告)
XP - 作者さんがメイズ・ランナーという映画に出会い、この小説を書いてくださったことに感謝の気持ちを覚えています。言葉遣いや表現が綺麗で何度も何度も読み直してしまいました…！設定も何もかも大好きです！！素敵な作品をありがとうございました。 (1月3日 23時) (レス) id: 727bd785bd (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - Yuriさん» 当方、恋愛描写が苦手なのですが、褒めていただけてとても嬉しいです^ ^いえいえ、プレッシャーには感じません！そう言っていただけるなんて、本当に有難いことです。メイズランナーの映画が終わり、こちらの連載も一区切りした後でも、こうしてお話できて嬉しいです！ (11月30日 14時) (レス) id: aeb9b27ec4 (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - Yuriさん» Yuriさん、コメントありがとうございます！メイズランナーの夢小説の少なさは私も好きになった時に驚きました。「どうしてこんなに少ないんだ！」と悶々としました^ ^サブキャラも魅力に溢れていたおかげで、書ききることができました^ ^映画と原作が素晴らしかったです (11月30日 14時) (レス) id: aeb9b27ec4 (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - 続き…リアル感を感じました。題材が完結し、ニュートも悲しい結末を迎えただけに難しいものですが、短編も読みたいなと思ってしまいました。変なプレッシャーになってしまったらすみません。でもそれだけ本当に面白かったです。最後まで作ってくれてありがとう!! (11月29日 22時) (レス) id: ceea37ce33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2023年4月25日 14時
