cooking[フライパン] ページ6
トーマスはいつだってナーバスだし、ニュートも思い悩んだような顔をよくしてる。
Aはグレードにいたときよりも忙しそうだ。
忙しくしてる方が気が紛れるんだろうな、と思いつつ、倒れやしないかと心配で。
きっと一変に仲間がいなくなった喪失感は、豆とソーセージの缶詰をどれだけ食べても満たされやしないんだ。
「……ここにフライパンと肉か魚と調味料があれば、俺の自慢の料理を振る舞えたのに」
「へえ、美味しそうね」
「うわっ！？」
まさか誰かに聞かれてるとは思わなくて。
びっくりしながら振り返れば、ブレンダは「そんなに驚くこと？」と微かに笑ったようにみえた。
「キッチンで作るような料理、もうしばらく食べてないわ」
ブレンダから渡された銃を受け取る。
「まさかずっと缶詰め？飽きないの？」
「味は何種類かあるけどね。とっくに飽きてるよ。私達がいた廃工場は食品を作っていて、缶詰めの備蓄倉庫もあった。缶の腐敗がない限り長期保存できるし、腐る心配もないってわけ」
「まあ、こんな世の中じゃ缶詰めが１番安全か」
「そういうこと。さ、練習しましょう」
ブレンダやハリエットが銃の扱い方を教えてくれる。
「筋はいいわね」
「元がいいのさ」
調子に乗って軽口を叩けば、ブレンダに呆れたように笑われてしまった。
「肩が上がってる。ちゃんと下げて──」
すっと、ブレンダが銃を構える俺の肩に手を置く。
「いい？呼吸を感じて──」
自然と近くなる距離に、胸はもうドキドキだ。
「あーっと、それは誰の？」
「ばかね、貴方のよ」
銃の練習を終えて戻ると、何やら皆が集まっていた。
「おいおい、なんの騒ぎだ？」
「さあ？」
皆が楽しそうに見える。
ちょうど振り向いたニュートが俺に気づき、笑顔で手を挙げた。
「ちょうど良かった、君を待ってた」
「俺を？」
自分を指差して首を傾げると、ヴィンスが手に持ったものを見せる。
「魚は捌けるかな？コックさん」
俺はもちろんさ、と頷いた。
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「ごちそうさま、おいしかった」
「この腕にかかればお手の物だぜ」
袖を捲り上げた腕を叩けば、Aの笑みが深くなる。
「おいしかったよ、さすがだな」
「当たり前だろ。またいつでも作るさ」
微笑むニュートに答えると、トーマスも来る。
「お、トーマス！おかわりもあるぜ」
「なら、バケツ一杯食べてもいいかい？」
久しぶりに揃う３人の笑顔に、景色まで明るくなったみたいだ。
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灰(プロフ) - risaさん» コメントありがとうございます。その複雑な感情、私にとっては最高の褒め言葉です。嬉しいですね、何度も読み直しています。応援してくれてありがとうございます。これからも一緒にメイズランナーを見届けてもらえたら幸せです。 (2022年8月5日 18時) (
レス) id: d11b046bc6 (このIDを非表示/違反報告)
risa(プロフ) - 完結まで頑張ってほしいけど終わってほしくない…！というという複雑な感情です笑頑張ってください！ (2022年8月5日 11時) (レス) @page47 id: 154610999c (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - 金魚さん» 金魚さん！また読みに来てもらえて嬉しいです！そしてコメントも残してくれて、本当にありがとうございます！メイズランナーの世界を一緒に楽しみましょう！私のことまで気遣ってくれて、私は幸せ者です。ありがとうございます。 (2022年7月21日 19時) (レス) id: d11b046bc6 (このIDを非表示/違反報告)
金魚 - 更新ありがとうございます！やっぱりこの作品が好きなのでとても嬉しいです！！続きを楽しみにしておりますが、灰さんのペースで楽しんで書けることを願っています！ (2022年7月21日 12時) (レス) id: 60316f025e (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - 猫魔さん» コメントありがとうございます。長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。私には恐れ多いお褒めの言葉をありがとうございます。胸にしっかり刻んで今後の更新に繋げていけたらと思います。また遊びに来てくれたら嬉しいです。 (2022年7月13日 11時) (レス) id: d11b046bc6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2020年9月24日 16時
