他のメイズ[ニュート] ページ26
テレサとトーマスを気にするような素振りを見せるAに、僕はここで出会った彼らが教えてくれた事実を話すために、口を開いた。
「A。実は、メイズは１つだけじゃなかったんだ」
「え？どういうこと…？」
Aが来る前、僕らは偶然前に座った２人の男の子から話を聞いていた。
「彼らも僕達と同じで別のメイズから来たらしい」
「別のメイズ……？」
Aが驚いたように目を見開く。
信じられないのも無理はない。
僕らだって最初に聞いたときは本当に驚いた。
「君が来る前、彼らと少し話してたんだ」
僕がそう言えば、彼女が僕から目を離し、彼らの方を向く。
前に座る彼らは、どこか照れ臭そうに頭を下げた。
彼女も戸惑いながら、頭を下げる。
「僕らと同じような生活をしていたらしい。WCKDから物資が届き、月に１度新入りが送り込まれてくる。ここへ来る前、突然爆弾が投げ込まれたらしい」
僕がそう言いながら彼らを見ると、彼らはそのときを思い出したように顔を強張らせながら頷いた。
「話の途中で悪いが、トーマスも来たようだから呼んでくる」
ミンホが扉の前に立つトーマスを迎えに行く。
僕らと同世代の男女が集まっている異様さに驚いているトーマスに、ミンホが手招きしてこちらへ戻ってくる。
トーマスはAの隣に向かう、少し場所を空けようとしたAが「ごめん」と言って僕の方に詰めた。
それを待って彼らが口を開く。
「爆弾のあと、どこからともなく人々が現れ、銃を撃ち始めた」
「凄まじかった」
「その後ここに連れてこられたんだ」
彼らが交互に話す。
「メイズに残された仲間はどうなった？」
僕はずっと心の中で答えを探していた質問を、口にしていた。
ボックスも上がったまま、夜になるとグリーバーが襲ってくるかもしれない状況の中で、残ることを選んだグレーダー達。
僕らは選ぶ道が違ってしまったけど、仲間であることに変わりはない。
「わからない。WCKDに捕まったままかも」
悲しそうに答える彼らもきっと、僕らと同じ気持ちなんだろう。
隣を見れば、Aとトーマスが揃って僕を見ていた。
「何日ここに？」
悲しみは胸にしまい込んで口を開く、今はここをもっと知る必要が僕らにはある。
「まだ１日か２日だ。あそこにいるのが１番長くて、１週間ほどになる」
そう言って彼らが振り返った先にいる奴を見る。
フードを被った男の子が端のテーブルで１人、息を潜めるように座っているのが見えた。
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灰(プロフ) - ゆかりさん» ゆかりさん、コメントありがとうございます。私には勿体ない言葉ばかりで恐縮ですが、とても嬉しいです。パワーが漲って参ります！更新を再開しましたので、ぜひこれからも遊びに来ていただけると嬉しいです。コメントを残してくださり、本当にありがとうございました。 (2019年5月13日 21時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - ふわりんさん» ふわりんさん、コメントありがとうございます。そして、とても遅い返信になってしまい申し訳ありませんでした。久しぶりにここへ来てコメントを発見し、とても申し訳ないとともに、有り難い気持ちで一杯になりました。本当に励みになります、これからまた頑張ります！ (2019年5月13日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - はじめまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！私もメイズランナーが大好きなのですが、灰さんの書かれるお話が面白くて更新を楽しみにしています(^^)背景描写やキャラの心理状態の書き方が丁寧で読みやすくて引き込まれます！これからも応援してます(^^) (2019年5月12日 23時) (レス) id: 6d37aeb524 (このIDを非表示/違反報告)
ふわりん - 初めまして♪この作品の更新をいつも楽しみにしてます！これからも更新頑張ってください。応援してます♪ (2019年4月22日 18時) (レス) id: 17d42863df (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - Hatomuraさん» コメントありがとうございます。おお、私もなんです。全３部作と聞いたので公開が終わるまで待っていたのですが、もっと早く見れば良かったと後悔しました(ノД`)そう言っていただけて、書いて良かったなと思えます。ゆっくりペースですが、これからも更新頑張ります！ (2019年4月11日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月26日 19時
