絶望の中にある希望 ページ12
「うわあああああ！！」
ジェフが叫びながら、グリーバーの頭に槍を突き刺す。
怯んだグリーバーの下から、ミンホが後退るように逃げた。
ジェフは槍を掴んだまま振り回されていた。グリーバーに足を掴まれたせいで、逃げられなくなってるんだ。
「嫌だ…だめ…ジェフ！」
「Aダメだ！」
私の腕を掴むニュートも、すごく苦しそうな顔をしていた。
「ジェフ！！」
叫ぶウィンストンを、フライパンが引き止める。
あっという間にグリーバーがジェフを覆い隠すように囲んだ。ジェフの悲鳴が聞こえる中、新しいグリーバーがこっちへ迫ってくるのが見えた。
「ミンホ、続きは！」
チャックが叫ぶ。
「６，４，８」
ミンホが言い、テレサが数字を押す。
「３，終わりだ」
テレサが３を押した瞬間、パネルに“完了”と表示された。
円形の扉が開き、壁がどんどん下がってくる。
グリーバー達が下りてくる壁の下敷きになっていく。
最後にトーマスが槍を投げ、残りの１体も下敷きになって潰された。
目の前で円形の扉が閉まる。
暗闇に包まれる中、背後で扉が開くような音がして、微かに光が差し込んだ。
テレサが扉を押すと、長いトンネルのような場所に出た。
水道管のようなパイプが壁沿いに続いている、ここは地下なのだろうか。
次の瞬間、パチ、と音がしたかと思うと、私たちの背後からずっと先まで、道しるべのように天井の蛍光灯が光っていく。
「……行こう、」
トーマスがそう呟き、歩き出す。
何が待っているか分からないけど、このままここにいられないのだから私たちは進むしかなかった。
一本道のトンネルを歩いていると、ふいにドアの前に辿り着いた。
扉の脇には緑色のランプが光っている。
扉の上にあるプレートには“EXIT”と書いてあった。
「ここが？」
拍子抜けしたようにフライパンが呟く。
トーマスがゆっくりと近づき、ドアを開けた。
開け放たれたドアの向こう、警報のようなサイレンが鳴り響いていた。
そして。
「っ、」
壁に背を預けて座る白衣姿の男の人、その人は頭から血を流していた。
先へ進むと、大きな窓ガラスの向こうに寝かされている人も２人。全身を覆われた白い布は胸元に血が滲んでいる。
「この人達……死んでるの？」
前を歩くチャックが小さな声で呟いた。
死んでいるようにしか見えない。だって、皆血を流してる。
でもとても声に出すのは怖くて、私はチャックの腕をそっと掴んだ。
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灰(プロフ) - ゆかりさん» ゆかりさん、コメントありがとうございます。私には勿体ない言葉ばかりで恐縮ですが、とても嬉しいです。パワーが漲って参ります！更新を再開しましたので、ぜひこれからも遊びに来ていただけると嬉しいです。コメントを残してくださり、本当にありがとうございました。 (2019年5月13日 21時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - ふわりんさん» ふわりんさん、コメントありがとうございます。そして、とても遅い返信になってしまい申し訳ありませんでした。久しぶりにここへ来てコメントを発見し、とても申し訳ないとともに、有り難い気持ちで一杯になりました。本当に励みになります、これからまた頑張ります！ (2019年5月13日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - はじめまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！私もメイズランナーが大好きなのですが、灰さんの書かれるお話が面白くて更新を楽しみにしています(^^)背景描写やキャラの心理状態の書き方が丁寧で読みやすくて引き込まれます！これからも応援してます(^^) (2019年5月12日 23時) (レス) id: 6d37aeb524 (このIDを非表示/違反報告)
ふわりん - 初めまして♪この作品の更新をいつも楽しみにしてます！これからも更新頑張ってください。応援してます♪ (2019年4月22日 18時) (レス) id: 17d42863df (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - Hatomuraさん» コメントありがとうございます。おお、私もなんです。全３部作と聞いたので公開が終わるまで待っていたのですが、もっと早く見れば良かったと後悔しました(ノД`)そう言っていただけて、書いて良かったなと思えます。ゆっくりペースですが、これからも更新頑張ります！ (2019年4月11日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月26日 19時
