いつも一緒だった友へ ページ2
突然謝ったのはウィンストンだった。
「僕は正直、迷ってるよ。ギャリーが追放するなんて言うのはさすがにおかしいと思う。僕たちは記憶が無いながらもここで生活してきた仲間で、今こそ団結するべき時なのにって。でも、トーマスとミンホが見つけた出口っていうのもグリーバーがたくさんいるんだろ？真っ向から向かって勝てる相手じゃないことは、今晩で嫌なほど思い知った……無謀すぎると思う」
ウィンストンの意見は的確で正論だった。
トーマスを信じてメイズに飛び込むことは、必ずしも生き残れる道ではない。
自分たちであのグリーバーの住処に入っていくんだ、死ぬ可能性はここに残ったときの可能性と同じくらいはある。
それでも出口に辿り着けば、家に帰れるという希望があるんだ。
「……僕も、ごめん」
沈黙の中、掻き消されてしまいそうな声で呟いたのはジェフだった。
「ごめん……僕は、怖いよ。すごく怖いんだ。クリントや大切な仲間をこんなに簡単に殺してしまったあいつらが憎いのに、怖いんだ」
集会所へ逃げていくときはいたはずなのに、あの混乱が収まったとき、すでにクリントの姿はなかった。ザートの姿も。
燃えさかる炎の中、今だって私は心のどこかで待っていた。クリントやザートが灰かぶりの顔で煙の中から姿を現してくれることを。
クリントの最期を見ていたであろうジェフの言葉に、そんな私の微かな光も消えていく。
つい数時間前まで一緒にいたはずなのにもういないんだ、本当に。
「……皆、ごめん」
「ジェフ、」
言葉が出てこなかった。
ジェフは目に涙をたくさん溜めた顔で私を見る。その目から涙がこぼれ落ちた瞬間、私は彼を抱きしめていた。
「っ、A…、」
「……一緒にいられなくて、ごめんね」
本当なら、一緒に悲しみに寄り添いたかった。
グリーバーが破壊したのはグレードだけじゃない、私たちの全てを奪っていったんだ。
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ウィンストンがジェフの肩を抱いてホーム・ステッドへ向かう。
その背中を追いかけてしまいたい気持ちを必死に堪えた。
「フライパン、君も僕らに遠慮せずに行け。今ならまだギャリー側につける」
ニュートが去って行く２人を見つめていた彼に声をかけた。
「おいおいなんだよそれ」
「僕らの選んだ道にはそれだけ危険が待ってるんだ」
見つめ合う２人に、誰も言葉は挟まない。
「……悪いな、そうさせてもらうよ」
フライパンはそう呟くと、２人の後を追って行った。
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灰(プロフ) - ゆかりさん» ゆかりさん、コメントありがとうございます。私には勿体ない言葉ばかりで恐縮ですが、とても嬉しいです。パワーが漲って参ります！更新を再開しましたので、ぜひこれからも遊びに来ていただけると嬉しいです。コメントを残してくださり、本当にありがとうございました。 (2019年5月13日 21時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - ふわりんさん» ふわりんさん、コメントありがとうございます。そして、とても遅い返信になってしまい申し訳ありませんでした。久しぶりにここへ来てコメントを発見し、とても申し訳ないとともに、有り難い気持ちで一杯になりました。本当に励みになります、これからまた頑張ります！ (2019年5月13日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - はじめまして、いつも素敵なお話をありがとうございます！私もメイズランナーが大好きなのですが、灰さんの書かれるお話が面白くて更新を楽しみにしています(^^)背景描写やキャラの心理状態の書き方が丁寧で読みやすくて引き込まれます！これからも応援してます(^^) (2019年5月12日 23時) (レス) id: 6d37aeb524 (このIDを非表示/違反報告)
ふわりん - 初めまして♪この作品の更新をいつも楽しみにしてます！これからも更新頑張ってください。応援してます♪ (2019年4月22日 18時) (レス) id: 17d42863df (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - Hatomuraさん» コメントありがとうございます。おお、私もなんです。全３部作と聞いたので公開が終わるまで待っていたのですが、もっと早く見れば良かったと後悔しました(ノД`)そう言っていただけて、書いて良かったなと思えます。ゆっくりペースですが、これからも更新頑張ります！ (2019年4月11日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月26日 19時
