安寧の終結 ページ50
テレサが打ったシラムのおかげか、トーマスは眠るように目を閉じた。
彼はこれからチェンジングを体験する、自ら望んで──真実を、少しでも掴むために。
「トーマスを安全な場所へ。手伝ってくれ」
ニュートの言葉にミンホやフライパン、ウィンストンが動き出したときだった。
「おい待て！！」
叫んだのはギャリーだった。
「こいつはやっぱり狂ってやがる！こいつがメイズに行ってグリーバーを刺激したから仲間が襲われた！何人が死んだと思ってる！？全部こいつのせいだ！！」
逆上したギャリーがこっちに来るけど、誰もトーマスのそばから離れなかった。
「ギャザリングを開くべきだ！今すぐ！」
ギャリーが叫ぶ。
「でも、集会所はもう……」
ジェフが悲しそうに呟いて、崩れた集会所を見た。
「だったらここで開けばいい！今決めるんだ！この気が狂った奴は仲間を傷つけ、規則を破った！胡散臭いこいつと追放されるか、俺達に着いてここに残るかだ！」
「残ってどうする。グリーバーに襲われるのを待つのか？トーマスは馬鹿なことをしたと思うが、俺にはよっぽどお前の方が正気じゃなく見える」
言い放ったのは、ミンホだった。
「っ、なんだと！」
ミンホに詰め寄ろうとするギャリーの間にニュートが立ち、ギャリーをまっすぐ見つめる。
「トーマス達は出口を見つけた、僕らは出るべきだ。ギャリー見ろ。壁は開いたままだ。また夜になればグリーバーが襲ってくる……僕らのグレードは、もう安全な場所ではなくなったんだ」
「そんなのは嘘だ！こいつのせいで仲間が死ぬ羽目になった！こいつとあの女が破壊したんだ！俺達のグレードを！ニュート、お前がここを見捨てるつもりなら、俺がリーダーになって守ってやる！」
「……おいおい、まじかよ」
フライパンがぼそっと呟く。
「トーマスをスラマーに入れろ！！邪魔する奴等も皆スラマー行きだ！これ以上、グレードを壊されてたまるか！」
「あの減らず口を止めてやろうか」
立ち上がろうとするミンホに、ニュートが彼の腕を掴み、小さく首を横に振った。
「……今はギャリーの言うことを聞くべきだ。それに、檻の方が安全かもしれない」
元々ギャリー側に立っていた数人が、トーマスを持ち上げる。
「私も入るわ！貴方の考えでは私も破壊の一味なんでしょう？」
立ち上がり、ギャリーに向かったのはテレサだった。
ギャリーはそんなテレサを忌々しそうに見ると、こいつも連れてけ、と連れて行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
灰(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます！そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります！(*^^*) (2019年3月26日 19時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです！シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります！コメント嬉しかったです！ (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灰 | 作成日時：2019年3月13日 21時
