アルビーの言葉と異変[ニュート] ページ46
「アルビー、出口を見つけたかもしれない。皆出られるかも」
その言葉を、誰よりも長く待っていたのはアルビーだっただろう。
「無理だ…………出られない」
だけど、アルビーは微かに首を横に振ってそう呟いた。
「許されない」
トーマスが戸惑いながら僕を見る、僕にもアルビーの言葉の真意が分からなかった。
全員が息を呑んで、アルビーを見つめている。
「どういうことだ？」
トーマスがアルビーに訊ねる。
「思い出した……君を」
そう言ってトーマスを見たアルビーに、トーマスが一瞬たじろいだ。
アルビーもチェンジング中にトーマスを見たんだ。
「……君は奴等のお気に入りだった」
そのとき、外が急に騒がしくなった。
「なぜこんなことを？なぜ来た？」
アルビーは涙を流していた、悲しみや絶望を全て見てしまったような目で。
外の騒ぎはどんどん大きくなる。
頭を抱えるアルビーを気にしながらも、僕らは無視できなくなって外へ出た。
「どうした」
トーマスが松明を持って走ってきたウィンストンにすかさず声をかける。
「扉が閉まらない」
ウィンストンは早口でそう告げると、壁の方へ駆けていった。
僕らも彼らを追って壁へ向かう。
静まり返るメイズの中を、僕らは息を殺して見つめていた。
そのとき、グレード中に不気味な音が響き渡る。
背後で鳥が飛び立ち、デッド・ヘッドにある南西の壁が開いた。
息つく間もなく、ガーデンにある北東の壁も開く。
そして、四方にある壁が、全て開かれた。
「チャック、集会所へ行って扉を塞ぐ準備を」
トーマスがチャックに声をかける。
チャックをいち早く安全な場所へやろうとしているのだと分かった。
「ウィンストンも行け。A、君もだ」
僕はAを見た、彼女を安全な場所に早く移しておきたかった。
僕にはまだやることがある。
「でも、アルビーがっ」
「行くんだ！ウィンストン！」
「ああっ、A行くぞ！」
ウィンストンが彼女を連れてチャックの後を追う。
「森に身を隠せと皆に伝えろ！」
ギャリーも指示を飛ばす。
「武器をかき集めろ。集会所で会おう」
トーマスが武器庫の鍵を持つミンホに告げる。
僕の方を振り向いたミンホに頷き、僕らは武器庫へ駆け出した。
「ニュート、僕らがアルビーを！」
「頼んだ！」
ジェフがクリントと一緒に駆けていく。
「皆隠れろ！！」
トーマスの叫び声がした。
振り返れば、四方の扉から、無数のグリーバーが現れた。
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灰(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます！そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります！(*^^*) (2019年3月26日 19時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです！シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります！コメント嬉しかったです！ (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月13日 21時
