目覚め、２日目の朝[テレサ] ページ43
いつの間にか私は眠っていた。目覚めると、外は既に明るかった。
中にいるのは私と、アルビーに付き添う彼女だけらしい。
「……アルビーは？」
私の声に振り向いたAは、おはよう、と柔らかく微笑む。
「おはよう」
「アルビーはまだ目覚めない。でも、見て？」
そう言う彼女に私は乱れた髪を直しながらベッドから起き上がり近づいた。
「傷が……」
「うん、傷がなくなったの。良くなってる証拠だと思う。貴方のおかげよ、テレサ」
私を見上げた彼女に、私はどう答えてあげればいいのかわからなかった。
私自身、どうして“あれ”を持っていたのかわからないから。
Aは立ち上がると、奥のテーブルからパンと果物が載ったお皿と飲み物をお盆に載せて持ってくる。
「これは貴方の分。昨日は疲れただろうから、自然と目が覚めたときに食べられる物にしてもらったの。お腹は空いてる？」
「ええ、空いてると思うわ。余り食欲はないけれど」
正直に答えれば、彼女もわかっていたような顔をする。
「でも、いただく。あ、その前に顔を洗ってきたいんだけど」
そう尋ねた私に、Aは水道がある場所とタオルと新しい石けんに髪ゴムまで渡してくれた。
外へ出て水道へ向かうと、バケツとスポンジを持ったふっくらとした男の子が私の隣に来た。
タオルと石けんを置いて、ちらっと隣を見れば男の子と目が合う。
真っ赤な頬をした彼は、気まずそうに微笑んだ。
「君は、テレサ…？」
「ええ、貴方は？」
「僕はチャック」
そのとき私は昨日彼女が言っていた、女の子だと知ってる人で彼の名前が挙がっていたことを思い出した。
「よろしく」
「ええ、よろしく」
当たり障りのない会話を終えると、チャックはバケツに水を溜め、スポンジを水で濡らして水道に元々置いてあった石けんで泡立てる。
私は彼女が新しい石けんを渡してくれたことに感謝しながら髪をゴムで纏め上げた。
肘の上まで服を捲って、水道の蛇口を捻った瞬間、ふと左腕に何か黒い跡が見えた。
隣を見ると、チャックは一生懸命スポンジを握りながら石けんを泡立てている。
左腕だけもっと捲り上げれば、それはペンで書かれた文字だった。
“WCKDは善なり”
誰が、何のために私の腕に……？
ふと、私は自分の右手を文字が書いてある部分に伸ばした。
少し斜めになった文字列に、私の右手の動きが綺麗にハマる。
もしかしてこれは……？
できた、と呟くチャックに、私は慌てて袖を戻した。
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灰(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます！そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります！(*^^*) (2019年3月26日 19時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです！シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります！コメント嬉しかったです！ (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月13日 21時
