紅一点の彼女[テレサ] ページ37
「A、よろしくねテレサ」
穏やかに微笑んで私に手を差し出すAは、最初から知っていたせいもあるかもしれないけど、普通の女の子だった。
──ニュートも食べてきて
──僕は平気だ
──だめだよ、食べられるときにちゃんと食べないと。それにテレサも何か食べないと。ニュートが食事を済ませてテレサの分を持ってきてもらえると助かるなって
──上手い言い方するな、まったく
遠巻きに見ていた光景で感じた彼女は、実際目の前にしてもイメージが変わらなかった。
彼女は立ち上がると奥から水の入った瓶を２本持ってきて、１本私に手渡す。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「ニュートが夕飯を持ってきたら貴方もちゃんと食べておいた方がいい。フライパンって男の子が作ってるんだけど、すごくおいしいよ」
微笑む彼女に私も微笑み返す。
だけど、私は彼女のように心から笑うことなんて出来なかった。
名前はすぐに思い出せたけど、なぜ私たちが送り込まれたのか理由がわからない。
何かあるはずなのに。
「……トーマスは、私が夢に出てきたって言ってた。貴方は私を知ってる…？」
私がそう尋ねると、彼女は首を横に振った。
「私は夢の中で聞いた言葉だけしか……トーマスは、やっぱり貴方を知ってたんだ。貴方も…？」
「私はわからなかったわ。覚えてるのは“WCKDは正しい”という言葉と、水中で溺れてるような感覚、私を見てる人たち。それだけよ」
「“WCKDは正しい”それでトーマスは貴方が持ってきた物をアルビーに……」
彼女は納得したように呟いた。
「“WCKD”って何なの？」
「……わからない。“WCKD”が私たちをここに送り込み、物資を運ばせて生活させてた。でも、グリーバーという怪物の体内には“WCKD”と書かれた機械が埋め込まれていた……どんな目的があるのか、まだわかってないの」
「……そう」
「落ち込まないでテレサ。明日トーマスがミンホと手がかりを探りに行くことになってる」
私の両手をそっと握り、微笑む彼女は見れば見るほど、話せば話すほど愛らしく見えた。
「貴方が女の子だと知ってる人って誰なの？」
いらぬ心配が過ぎってそう尋ねたとき、誰かが入ってくるのが見えた。
彼はサンドイッチとローストビーフの載った皿を私に渡す。
「ありがとう、ニュート。テレサ、ニュートは私が女の子だと知ってる。あとチャックとミンホ……そしてアルビーも」
彼女はそう言うと、悲しげにアルビーを見つめた。
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灰(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます！そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります！(*^^*) (2019年3月26日 19時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです！シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります！コメント嬉しかったです！ (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月13日 21時
