ランナーの秘密と彼女[トーマス] ページ32
ミンホが僕を連れてきたのは、ランナーの基地だった。
テーブルの上に被せてあった布を彼が取れば、そこに現れたのはメイズのミニチュア模型だった。
「これがメイズ──すべてだ」
「調査中じゃないのか？」
驚き訊ねる僕に、ミンホは「調べは尽くした」と告げる。
３年いて、何もわかっていないとばかり思っていたけど。彼らはちゃんと調べ尽くしていたなんて。
「自分の足で調べた。すべてのサイクルやパターンを……だが出口は見つからない」
「なぜ秘密に？」
「アルビーの方針だ。脱出の希望を持たせたいと──それが今、現実になろうとしてる」
ミンホは僕の隣に来て、さっき見つけてきたグリーバーの体内にあった機械を手渡す。
「見ろ。１年前外側の調査を始め、壁に番号があるのを見つけた。１〜８までだ。つまりこうだ、毎晩メイズが変わる度に新しい壁が開く。今日は６が開いた。明日は４，８，３の順で開く。パターンは同じだ」
機械は未だに赤いライトを点滅させながら、７と表示している。
「７は特別なのか？」
訊ねる僕にミンホは、わからないと呟いた。
「グリーバーが死んだとき、７が開いてた。そこから来たんだろう。明日、詳しく調べよう」
ミンホの言葉に頷いたときだった、クリントとジェフが慌ただしく駆けてくる。
「おい、入るな！」
叱るミンホにジェフが「実は…」と告げる。
「女の子のことで…」
呼吸を乱しながらそう呟くクリントに、僕らは急いで見張り台へ向かった。
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「チャック！」
笑うチャックが見えて声をかければ、その隣にはAもいた。
彼女は僕を見ると、「ああ、よかった」と安堵する。
「どうした？」
「すごい子だよ」
チャックが指差す方を見れば、見張り台からあの子が石を投げているのが見えた。
「一体何が……」
「トーマス、彼女は眠っている間もずっと貴方の名前を呼んでた。貴方の話なら聞いてくれると思う。頭は気をつけて」
Aに背中を押されて戦場と化したそこへ向かう。
「話を」
「もうやめて！」
言い終わる前に石が飛んでくる。
「おい！トーマスだ！トーマスだ！」
Aの言葉を思い出しそう言ってみれば、石が落ちてこなくなった。
見上げれば彼女がちょっとだけ顔を出す。
「そこに行く」
そう言えば彼女はまた姿を隠したが、石は落ちてこない。
「よし。僕１人だ」
隣にいたギャリーにそう告げ、見張り台に上る。
待っていたのは、ナイフを構えた彼女だった。
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灰(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます！そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります！(*^^*) (2019年3月26日 19時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです！シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります！コメント嬉しかったです！ (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月13日 21時
