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無謀な奴等と手を焼く彼女[ニュート] ページ23

メッド・ジャックへ行けば、眠る彼女のそばにAとジェフがいた。

「どうして彼女は目覚めない?」

訊ねる僕に、ジェフはAと目を合わせながら首を横に振った。


「わからない。僕らは医者じゃないから」

トーマスが来て3日目に、彼女が送り込まれた。
“彼女で終わり、最後だ”というメモを持って。

そして彼女は“彼”の名を呼んだ。
隣にいるトーマスに目をやると、“彼”はただじっと彼女を見つめていた。


「知ってるのか?」

訊ねる僕にトーマスは「いや」と首を振る。


「彼女は知ってるようだ」

トーマスは困惑しているようだった。けど、彼の態度は何か引っかかる。


「メモの意味は?」

口を開いたのはジェフだった。


「あとで考えよう」

そう答えた僕に、「今考えた方がいい」とトーマスが告げた。


「他にすることがある」

「ニュート、今考えよう。ボックスが来ないなら、僕らは生きられない」

いつもの笑みを消し、不安を隠しきれない表情でジェフが呟く。
実際、彼女を運び出したというのにボックスは上がったままだが、悲観すれば事態が悪化してしまう。

絶対的存在だったアルビーがいない今、混乱は避けたかった。



「誰が言った?結論を急ぐことはない。彼女が目覚めるまで待とう。何かを知ってるはず」

僕がそう言えば、「わかった」とトーマスが呟いた。
かと思えば、彼は踵を返し出て行こうとする。


「どこへ?」

「メイズの中だ」

1人で飛び出すトーマスにミンホと顔を合わせる。
ミンホがトーマスの世話を請け負うように後を追って出て行った。




「とにかく何かわかったらすぐに僕に知らせてくれ。寝言でも何でもいい、わかったな?」


ああ、と頷くジェフに、僕は手前のベッドで眠るアルビーの元へ行く。クリントが彼に付き添っていた。
拘束されたまま苦しむ彼の姿を見たが、とてもじゃないがすぐに目を逸らした。



「……アルビーは?」

「変わらない……でも、彼は今頑張ってる。何かあったらすぐ君に言うよ」

「ああ、頼む」

クリントの言葉に頷いて、僕は外へ出た。






「──だめ!」


聞こえた声に横を見る。
するとトーマスとミンホの前にAが仁王立ちしていた。



「ミンホ!貴方は脱水を起こして点滴を打ったばかりだし、トーマス!貴方の身体も初めてのメイズでまだ悲鳴を上げてる」


僕からは彼女の背中しか見えないが、トーマスもミンホも彼女が初めて見せたであろう怒った姿に、狼狽えているようだった。

女の子は怒ると怖い[トーマス]→←眠りのお姫様



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設定タグ:メイズ・ランナー , 紅一点 , ニュート   
作品ジャンル:SF
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(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます!そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります!(*^^*) (2019年3月26日 19時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです!シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます!楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります!コメント嬉しかったです! (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい! (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年3月13日 21時

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