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奇跡の夜[ミンホ] ページ16

グリーバーに刺されたアルビーを助けようとするグリーニーを置いて、俺は逃げ出した。
どうしようもなく恐ろしかった、今までに無いくらいの恐怖を感じた。

遠のいていく、グリーバーの呻き声やあの忌々しい金属音。
自分の命が助かったかもしれないという希望を見出した瞬間、俺は自分がしてしまったことに絶望した。


俺は来て2日目の奴にアルビーを押しつけ、逃げ出したんだ。
アルビーだけは絶対にグレードに連れ帰らなければならない、そう思っていたのに恐怖に負けてしまった。
今頃あのグリーニーはグリーバーに刺されている頃だろう、逃げ出した俺を墓場まで恨むんだ。


ずるずると壁に背を預け、座りこむ。
3年メイズと向き合ってきた、そんな男の最期がこんなザマなんてな。

見上げた視界は、どこまでも暗い。星も何も見えないただの闇だ。
だけどそのとき、何かが壁の上を通り過ぎるのが見えた気がした。

身を起こし、じっと目を凝らせばまた。今度は確かに見えた。


「っ、まさか」

立ち上がり、壁の上を走り抜けるトーマスを見た。その後ろからはガチャガチャと金属音を立てながら執拗にグリーバーが追いかけていた。


でも生きてる、トーマスは今も。

その瞬間、俺は走り出していた。トーマス達のいる方へ向かって。
迷いなどなかった、頭に叩き込んだメイズの知識は足が覚えてる。

壁の上、トーマスが追い込まれるのが見えた。引き返すにもグリーバーが彼の行く手を阻んでいた。そして彼は、行き止まりの方へ突然駆け出して──


「おいおい嘘だろ?」

数メートルの距離をジャンプしたトーマスが向かい側にあった壁に飛びつく。
そしてグリーバーも彼を真似るようにジャンプした。

俺からは見えない光景に最悪の事態を想定しながら角を曲がる。
すると、そこには蔓に巻き付かれて身動きの取れないグリーバーと、それを呆然と見つめるトーマスがいた。彼は生きてた。



「おい!無謀な奴だ」

駆け寄り肩を掴むとトーマスが少し暴れて、俺を見た。


「着いてこい」

走り出すとメイズの中は変わっていた。
後ろを気にしながら走るトーマスに声をかけながら角を曲がると、いつも閉じる道に出る。


「ここは閉じる。奴は来ない」

急いで走り抜けて振り返れば、トーマスは道の向こうで止まっていた。壁は音を立て閉まり始めているというのに。


「トーマス!そこから出ろ!」

トーマスはグリーバーを待って、道を抜ける。



「振り返るな!走るんだ!!」

そして朝が来る→←眠れない夜



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設定タグ:メイズ・ランナー , 紅一点 , ニュート   
作品ジャンル:SF
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(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます!そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります!(*^^*) (2019年3月26日 19時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです!シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます!楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります!コメント嬉しかったです! (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい! (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年3月13日 21時

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