メイズの中[トーマス] ページ13
僕の背後で完璧に壁が閉じた。走り抜けながら聞こえていたチャックや他の皆の声は完全に聞こえなくなった。
今頃になって震え出した足で必死に身を起こそうとすれば、ミンホと目が合った。
「……よくやった。後は死ぬだけだ」
彼は乱れた呼吸で、全てが終わったかのように僕に言う。
「何だと？」
座りこんだミンホに駆け寄れば、彼の隣に横たわるアルビーが見えた。
気絶するアルビーの元へ行けば、彼は額から血を流していた。
「何があった？」
「見ればわかる。刺されたんだ」
「頭が腫れてる」
「俺がやった」
僕はミンホを見た、そして自分がベンに襲われたときのことを思い出す。
もしかして、ミンホもアルビーに襲われかけたのか。
ミンホが疲れた身体に鞭を打つように立ち上がるのを見て、僕は声をかけた。
「起こすのを手伝ってくれ」
「行くぞ。メイズが変わってる」
アルビーを無視してふらふらと歩き出そうとする彼に、僕は彼の名を叫んだ。
「ミンホ！彼を置いていけない」
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両脇からそれぞれアルビーの腕を自分の肩にかけ、足を持ち上げながらメイズを進んだ。
ミンホは時折苦しそうな呻き声を上げながらも、次に進む順路を僕に教える。
メイズの中は元々薄暗かったが、更に暗さを増したようだった。
僕らは倒れ込むように腰を下ろした。
アルビーの首元に手をやり、脈を確認する。
「アルビーは助かる？」
尋ねる僕に、ミンホは力なく地面を見つめながら呟く。
「……無理だ。昼間にすぐに戻ってシラムを打たないと助からない。夜に刺された奴は皆、無残な殺され方をする。まあ、アルビーだけじゃなく俺達にも言えるが」
「どういうことだ？」
ミンホは僕を見ると、何も言わずに「行くぞ」と立ち上がる。
僕らは気の遠くなりそうなメイズの先を見ながら歩き出した。
「ここに座らせろ」
ミンホの指示で、僕らは半分転げるように膝をついてアルビーを下ろした。
そのとき、ミンホが僕らの左手に伸びたメイズを振り返る。
微かに、グリーバーの声が聞こえたような気がした。
「やっぱり無理だ。行こう。さあっ」
「何を言ってるんだ、彼を隠さないと」
連れて行くのは無理だとしても、このまま無造作に置いておけない。
「どこに？」
ミンホは焦った様子で僕に訊ねる。
ランナーのキーパーである彼が僕に訊ねることなのか。
絶望的な状況だと飲み込めてきたこともあり、僕は苛立つ気持ちを抑えながら口を開いた。
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灰(プロフ) - 蒼井さん» コメントありがとうございます！そうなんです、映画にはない彼らの日常が原作には散りばめられていて。面白いと言っていただけてホッとしました(^^)物語は複雑になるので、私なりの解釈も増えてしまうと思いますが、最後まで突き進んでいけるように頑張ります！(*^^*) (2019年3月26日 19時) (
レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - いつも読ませて頂いてます:-)映画と原作が混ざっていて、映画では知ることが出来なかった彼らの日常を見れているようで、すごく面白いです！シリーズものは大変だと思いますが、楽しみに待っています(^^) (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9bfcc6dade (このIDを非表示/違反報告)
灰(プロフ) - みーか。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしているというお言葉をいただけてパワーが漲って参りました(*^^*)進み具合が遅くてわかりづらい部分もあると思いますが、一緒にメイズ・ランナーの世界に浸っていただけるようこれからも頑張ります！コメント嬉しかったです！ (2019年3月25日 21時) (レス) id: 29fcd6d8e4 (このIDを非表示/違反報告)
みーか。(プロフ) - 毎日楽しみにしています(*^^*)私もニュート推しなのでとても読んでいて楽しいです(*^.^*)頑張って下さい！ (2019年3月24日 19時) (レス) id: ed1f9d9f70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：灰 | 作成日時：2019年3月13日 21時
